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ソニーα1のメカシャッターについて

2021年02月08日 | 機材について
ソニーの新製品α1のメカシャッターは電子先幕シャッターのみという投稿を見ました。これまでEOSMやRP、α7cといった入門機では電子先幕のみという機種は多いものの、ハイエンド機種ではメカの先幕シャッター、つまり普通のメカシャッターが採用されていました。

ここでレンズ交換式のカメラのシャッターについておさらいです。
シャッターは閉まって状態から順次露光を開始する先幕と開いた状態から順次閉まっていき、露光を終了する後幕の2つの部材で構成されています。これは先幕と後幕の動作間隔を調整することで、実際の動作が比較的遅いメカニズムでも高速のシャッターを可能にできるのでカメラのごく初期から採用されています。光のスリットが動いていって露光されるというイメージです。
フィルムカメラはフィルムが露光してしまうのでレリーズ以外では閉まっている必要がありますが、ミラーレスではシャッターが開いていなければ画像を見ることもAF動作もできません。このため先幕は常時開いていて、レリーズ時に一度閉じてそれから露光を開始しなくてはいけません。そこで先幕を電子シャッターで行うのが先幕電子シャッターです。この時シャッターを開くタイミングは、メカのシャッターと同様に順次行う必要があります。
先幕を電子シャッターとすれば無駄な動作も必要ありませんし、先幕シャッターによる振動もありません。ただ先幕電子シャッターでは余り高速のシャッターを切る事ができません。というのはメカシャッターは撮像面近くには置かれていますが、斜めに入射する光束があるとその分エッジがボケます。つまりエッジがボケた光のスリットで露光していくことになり、露光時間が先幕と後幕間の時間より長くなります。露光量としては変わらないのでメカシャッターでは余り問題とならないのですが、電子シャッターでは炉公開始のタイミング以前には一切露光されませんから、その分の光束が露出されないことになります。

この現象自体はエッジ部で常に起きますが、スリットの幅が十分あれば影響少なくなります。α1は幕速、つまりスリットが動くスピードが速いので、その分同じシャッタースピードでもスリットの幅を広くできます。正確な幕速はわかりませんが、ストロボ同調スピードから推測してα1はα7cより3倍ほどの幕速がありそうです。つまりα1の1/8000秒の電子先幕シャッターの弊害の程度は、α7cの1/3000秒と同程度と推定できます。
α7cの電子先幕シャッターの弊害についてはあまり報告を見たことがありませんが、同様の幕速と考えられるEOS RPでは広角の大口径レンズでぼけが欠けるという投稿がありましたが、画像を比較してわかる程度のものでした。α1はこれよりはかなり改善されると推定されますから実用上はほぼ問題ないと思われます。ただしOLDレンズで大口径の広角レンズをつけてぼけを楽しみたいという方は避けた方が良いかも知れません。

後幕だけしかないシャッターということで、シャッターチャージもその分楽ですし、コストダウン要因にもなります。α1は従来機のα9と同様のバッテリー、外観サイズですが、シャッターも従来サイズのスペースに収まるものと思われます。シャッター幕の軽量化や、モーター駆動部などコストアップ要因もなくはありませんが、下位機種への展開も十分考えられます。またコパル製だった場合は他メーカー(ニコンやリコー)が採用する可能性があります。

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