犬小屋の中へ

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国立近代美術館フィルムセンターの特集上映

2007-09-29 20:17:52 | 映画
国立近代美術館フィルムセンターはその存在を知ってからよく足を運んでいます。何しろ昔の名画や映画館ではお目にかかれない異国の映画がワンコイン(500円)で見る事ができるという、知る人ぞ知る穴場スポットなんです。30分前から入場開始なんですが、大体1時間前くらいに行かないとまともに見れない事も多いのでご注意を。そんな訳で近日見たものをご紹介します。

特集・逝ける映画人を偲んで 2004-2006
砂の女(1964)
予備校生の頃に安部公房さんの小説が好きだったのと、この作品がどこにもレンタルされていなかったので足を運んできました。安部公房さんの小説の「理系」と「美術系」がごった煮になったような難解な文体が好きで、どんな風に再現されているかが気になっていたのですが、映画は小説の雰囲気そのままでした。ざらついた砂の感触、「砂の女」を演じた岸田今日子さんの雰囲気といい想像とぴったりでした。
岸田今日子さんといえば、ムーミンの声や、「尼さんの格好をしている姿」しか思い浮かばなかったりするんですが、非常に日本の艶っぽさを持った女優さんだったんですね若い頃の姿は(当時30代半ば)、歌手のUAにもちょっと似てるかなと思いましたが、こんな日本の憂いを残した魅力のある女優さんってもう現代にはいないのではと思いました。ラジオを貴重なものとして重宝する姿や「東京の人はみんなオシャレなんだろう?」そんな台詞が印象的でした。この作品も1964年製でモノクロ、主役のお二人はもう亡くなられてしまったのですが、今見ても新鮮な完成度でした。「逃げようと思えばいつでも逃げられる」、このストーリーはある意味、現代人の退廃への形を暗喩していたのでは。

ポーランド短篇映画選
(新作選集)
ポーランドで近年製作された30分未満の短編映画の4本立て。ポーランドの労働環境の悪さや、個人の持つ悲壮な感覚が伝わってきて、その点は面白かったです。中でも第一本目の、自宅に侵入した強盗をとらえ、屋根裏に監禁したバスの検閲係の話「検閲係」、フーリガンとなって暴動を参加し、誤って友人を撃ち殺してしまった青年の話「逃亡の街」は18分という短いストーリーながら、青年の孤独感がひしひしと伝わってきて良かったです。ポーランドでもサッカーは盛んなんですね。この2本は秀越でした。ポーランド映画特集は今週の土日まで開催されているのでよければぜひ。「戦場のピアニスト」でおなじみのロマン・ポランスキーの古き作品も上映されました。

ウズベキスタン映画祭
UFO少年アブドラジャン(92年)
ウズベキスタン国民の半数以上が鑑賞したとも言われるSFファンタジーらしい。このタイトルを見たら足を運ばずにいられませんでした。だって「UFO少年」に加え「アブドラジャン」だよ!?見ない訳にはイカネエジャン。
内容はある村にUFOが不時着し、特殊な能力を持つ少年が現われた...といったE.Tを思わせる様な内容(冒頭には拝啓、スピルバーグ様へ...というメッセージが。)なんですが、非常にローテクな作りで、監督もそれを逆に楽しんでいるかのようでした(笑)。話的にはありがちな感じなんですが、それがウズベキスタンの牧歌的な雰囲気に包まれて、逆に新鮮に映りました。以前は旧ソ連領だったせいか、雰囲気的には「不思議惑星キン・ザ・ザ」に良く似ているので、あのテイストが好きな人にはおすすめです。あれ以上にローテク&読める展開ではありますがウズベキスタン映画祭は10/7までやっているので良ければ足を運んでみて下さい。

帰りにipod touchが気になっていたのでその足で銀座apple storeによった訳ですが、気になっていたsafariとyoutubeの閲覧、appleのサイトでは「どこでも見れます」なんて書いてありましたが無線LANスポット以外では見る事ができないんですね。「どこでも見れる」なら買おうと思っていたのにがっかりです。その手の事に詳しい人なら当たり前だろ、と思うかもしれませんがちょっとがっかり。

クリックすると今夜岸田今日子さんが枕元に


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