犬小屋の中へ

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東京国際映画祭2010

2010-10-29 22:54:17 | 映画
そんな訳で、今年も東京国際映画祭に足を運んできました。今回チケットを買うのが遅くなってしまい、自分の希望の作品が観れなかったのが残念。でも三作品のチケットは確保、鑑賞してきました。とりあえず自分用にメモ。

「四枚目の似顔絵」
全体的にモヤモヤ感が残る映画だった‥。といっても悪い意味でのモヤモヤ感では決してないのですが。小学校低学年位の男の子の目線で描かれていく。タイトルの通り少年が肖像画を残していく事でストーリーが進んでいく。一枚目は亡くなった父親の肖像、二枚目はトイレで紙を貸して友達になったチンピラの○○、三枚目は夢でみた兄の姿、四枚目は、最後に授業で課題になった自分の似顔絵で幕を閉じる。最後のカットは少年のアップ=これからの少年の未来を暗示させていたのか?その意図がハッキリとは解らないがおそらくそんなニュアンスだと思う。
全体的に少年のやり場のない境遇や取り巻く家族の描写が淡々と描かれて行くのだが、少年自体の葛藤や感情描写が明確にドラマとして描かれている訳ではないので、人によっては感情移入し難いかもしれない。どちらかと言うと想像の世界に生きるようなポワーンとした感じの子。
シーンやキャラで印象に残ったのは、弁当を盗んで捕まえられた学校の用務員のおじさん、ホステスの母親、兄を殺した事でトラウマを抱える父親、あとロバートの秋山に似た「ビックガン」のチンピラは、救い用のない物語に彩りを与えていて良かった。
最後の義理の父親との会話にやり取りはリアリティがあり怖かった。「遠い道のり」同様に台湾ならではの景色を味わえる作品。

「ハイソ」
その名の通り、セレブの男性俳優の日常を淡々と描いた作品。前半はタイの郊外でのビーチでのロケ、後半はバンコクの都心部での生活が描かれている。監督自身もアメリカ、タイとで生活をしていたらしく自分自身の経験が反映されているらしい。具体的なドラマは全く描かれず(前半、後半と恋人が違うのだが、、そこには全く触れられないままだった)淡々と描かれる日常。セレブの心の中の空虚感やタイの空気感は伝わって来たが、何しろ自分がセレブでもないし、バイリンガルでもないので正直共感できる部分が無かった(笑)映画というよりも、どちらかというと現代美術を見ているような感じの映画? 前作の映画でスマトラ島の震災について描かれていたそうで、その影響が前半の舞台にも反映されていたよう。

「重慶ブルース」
非常に重い映画だったが、三本の中ではこの作品が一番面白かった。
化粧品店で人質を取り立て篭もり、射殺された息子の真相を追うために重慶に戻った父親が主人公。父親は幼い頃に息子と別れ顔を覚えていない。元妻の元へ行き、息子の友人の元へ行き、警察の元へ行き、、と、ロードムービー調で物語が進んでいく。息子が恋人を連れて海へ行くシーンや、息子の友人を追ってクラブにこっそりと足を運ぶシーンなど、父親の切迫した感情が伝わってきて非常にリアリティーがあった。重慶の街並みは無骨で巨大な工業都市で、それだけで被写体として迫力がある。最初と最後に登場するモノレールが印象的だった。同世代のジャ・ジャンクーの映画にも空気感がよく似ている。難を挙げれば、もう少し短くできたのではと思う。あと20分くらいは編集できたような気が。ティーチインが無かったのが残念。

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2 コメント

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Unknown (レモンガラス)
2010-11-01 16:28:06
「重慶ブルース」観たかったんですよ!
やはり面白かったですか??
重い映画ですが、見応えは十分ありそうでしたね。
来年は面白い楽しいタイ映画が観たいです^^;

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こんばんは (matsumo)
2010-11-01 23:48:56
ご無沙汰しています、お元気でしたでしょうか?「重慶ブルース」は今回見た中でも重厚感があって見応えのある作品でした。ちょっと尺が長いかな?という感じもありましたが、素直に足を運んでよかったと感じました。。
タイ映画は、今年は本数少なかったですよね。フィルメックスでアビチャッポン監督の作品が上映されるようで、そちらにはちょっと注目しています。
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