いぬくそ看板の向こう側

いぬくそ看板の背景に存在する「人間ドラマ」を紹介するブログです。

スバルプレオ その2

2020-04-12 16:30:00 | 背景はクルマ
いぬくそ看板物語(2) 

2010年1月18日、京都府宇治市にて。 
この写真は、初期のいぬくそ看板撮影のスタイルが確立された頃のものである。当時は「クルマに乗って看板を撮りに行く」事によって、各地の看板を観察していた。

私は会社を辞めてニューパンダを手放した後、しばらく京都で特に何もせずフラフラしていた。そもそも会社を辞めたのは、会社の元上司に誘われて起業するためだったのだが、信じられないことに1ヶ月くらいで計画が頓挫。私はそのまま素浪人になってしまったのだ。

その後、なんとかパソコン出張サポートの仕事を得て糊口をしのいでいた。1ミリも乗りたくない軽ボンバンを駆り、京都大阪の各地をうろつく中で、気づいたことが2つあった。

ひとつは、コストダウンは必ずしも正解ではない事。予算不足でギリギリ買えたプレオ。好きではないクルマを乗り続ける事は苦痛で、一日も早く乗り換えようとしていた。人はつらい状態にいると、「努力」するのではなく「逃避」するのだ。その気持が無意識のうちに事故を誘い、2度の物損事故に懲りてこのクルマを処分することになる。

もうひとつは、いぬくそ看板が地域によって違いがある。また、各地に設置されている事だ。それ以前も写真に撮っていたが、この看板の地域性のようなものに注目しはじめたのは、各地を転々とするパソコンサポートの仕事の賜物だろう。これがきっかけではないが、筆不精のくせにライターを目指すようになったのもこの時期だ。

私をピンチに追い込むのも、チャンスを招くのも、クルマでありいぬくそ看板なのである。

スバルプレオ その1

2020-04-11 00:00:00 | 背景はクルマ
スバルプレオ

車名:スバル・プレオ(グレード:A)
駆動方式:FF
変速機:5速MT
大きさ:長3395×幅1475×高1550(単位mm)
ホイールベース:2310mm
車重:890kg

スバルが1998年に発売した乗用軽自動車。スズキワゴンRから始まった軽トールワゴンの流行に追随するべく開発された。一方で、スバルヴィヴィオの後継としての側面もあるため、車高は他社トールワゴンより控え目だ。

重心が比較的低いため、スポーティグレードも用意しやすかったらしく、ヴィヴィオに設定されていたRX-Rを引き継ぐ「RS」グレードも存在している。スバルの軽に特徴的なパワフルでレスポンシビリティに優れたスーパーチャージャーを存分に生かしたモデルと言える。

私が乗っていたのは、RSグレードではなく、ラグジュアリーなLSグレードでもなく、商用のAというグレードだった。動作性能に優れた4輪独立懸架ではあったが、そのポテンシャルを全く活用できない非力なエンジン。車重890kgと軽量でありながら、高速道路の坂道ではミッションを3速に入れないと走ってくれなかった。商用グレードなので内装が質素、というより貧相。エアコンの調子も悪く、とにかく乗るのが苦痛だった。

しかし、このクルマが無ければ、私はいぬくそ看板の魅力に目覚めることはなかったのである。

(つづく)

フィアットパンダ その2

2020-04-04 21:15:00 | 背景はクルマ
いぬくそ看板物語(1)
2009年3月9日、岡山県赤磐市の山陽団地にて。
これは、私がいぬくそ看板を意識的に撮った最初の看板である。この写真とクルマには切っても切れない関係があって、初めてのマイカーであるフィアットパンダで行った初めてのドライブで撮ったものだ。

当時、私は姫路に住んでいた。職場での成績が芳しくなかったため、僻地に飛ばされた結果である。

郊外の生活なので、普段の足としてクルマが必要になった。中古の安車で済ませても良かったのだが、欲を出して外車にした。ボディカラーは大好きなイエローと決めた。左遷の憂さ晴らしにもなると考えたからだ。本当は初代パンダにしたかったけど、マイナートラブルにビビって新車のニューパンダを選んだ。

マイカー生活は楽しかったが、悲しい出来事が2つあった。ひとつは、駐車場で犬のフンをよく踏んだこと。家の駐車場でもスーパーの駐車場でも、古本屋に立ち読みに行った時も、クルマから降りるときに何故か踏んでしまった。自分の足で踏まなくても、やたら臭い時は大抵タイヤハウスがクソまみれだった。

もうひとつの悲劇は、このクルマを3ヶ月で手放すことになったことだ。姫路での会社員生活は過酷を極め、耐えられずに退職してしまったのだ。何も考えずに会社を辞めたので、次の職の事など考えているはずもなく、そのまま無職に。結局ローンが払えず、買取業者の手に渡った。

ニューパンダを街で見かけると、未だに悲しい気持ちになる。いぬくそを踏んだ日々を思い出して……

フィアットパンダ その1

2020-03-28 14:30:00 | 背景はクルマ
犬のおさんぽコースにはいぬくそ看板が設置されやすい。住宅街の公園や歩道、農地周辺などでよく見かける。その中でもドラマを感じさせる場所は駐車場である。

クルマは持ち主の「人となり」を表す。洒落着であったり普段着であったり、クルマはまさに運転する服だ。そんなクルマを停める駐車場に犬のフンがあった時の事を想像して欲しい。せっかくのお出かけ気分が台無しだ。犬のフンは許してはならない。それゆえにドラマが見いださせるのである。いぬくそドラマの一幕を、まずは私の愛車遍歴を通して紹介したい。

フィアットパンダ
車名:フィアット ニューパンダ
駆動方式:FF、4WD 
変速機:5速セミAT
大きさ:長3540×幅1580×高1580(単位mm)
ホイールベース:2300mm
車重:975kg

パンダは、イタリア自動車メーカーのフィアットが1980年に発売した小型車だ。Wikipediaによると、オイルショックの影響を受けて不振が続いていた時期に、社運をかけて企画したものなのだそうだ。ジョルジェット・ジウジアーロ がデザインした独特のフォルムが特徴で、1999年まで20年近く生産されたロングセラーモデルである。日本国内ではヨーロピアンでお洒落なアイコンとして扱われていて、ドラマや映画などでよく見るクルマとして知られる。

私が乗っていたのは、その次の代のモデルで、通称「ニューパンダ」と呼ばれるものだ。見た目はスズキワゴンRみたいで外車っぽくなく、初代ほど人気ではなかったらしい。

でも、とにかく楽しいクルマだった。初めて購入したクルマだったからかもしれない。小さいながら「走る」「曲がる」「止まる」がキビキビしていて、初心者でもクルマを操る楽しさを実感させてくれる名車だった。そして、私をいぬくそ看板撮影に目覚めさせたきっかけを与えてくれた存在でもあった。

(つづく)