私の行きつけの将棋道場では子供教室も開いており、一般の自由対局の所にも賑やかな声が聞こえます。雰囲気が明るくなって、盤面にむしろ集中できますね。
もちろん、子供たちにも色々な悩みがあって、その典型の一つが中学受験・高校受験です。
この地域では、公立より私立の方が(色んな意味で)優れるとか。私自身は田舎出身なので、私立という選択肢はありませんでした。
「そんなに言う程か?」と、自身の経験から訝しく思ってしまい、一つの観点としていじめの統計データを参照しました。
文部科学省[1]の資料によれば、令和4年度(2022年度)のいじめ件数は、小学校~高校で約68万件。平成26年度(2014年度)は約19万件であり、現在まで増加傾向。
統計上のこの増加は、いじめ対策が進んで認知数が増えた要因もあるので、学校関係者は忙しい中でも努力されていると思います。
生徒数1,000人当たりのいじめ件数は53.3件。計算上は、1クラス40人に約2件あるのですね。
確かに、私が子供の時を振り返ってみると、いじめは身近にありました。自分が被害に遭わずに済んだのは、多分、学業成績が良かったためでしょう。
だったら子供たちが私立の中学校・高校を志望するのは当然のことです。どうも、自分は浅薄なのがいけない。
さて、今回は相矢倉の将棋を検討します。
米長流急戦矢倉[2]は破壊力のある急戦策なので私はよく使いますが、その代償である反動の強さに対応できず、失敗することが多いです。
かといって、相手がこれを仕掛けてくるのも、一旦は受け身になるので嫌なものです。なので、今回は先手側の急戦矢倉対策を考えます。
まずは、私のネット対局より。下図の局面は後手が両側の端歩を突いている分、攻めの陣立が立ち遅れています。
現局面の△1四歩は、後手が△4四銀と出たときに▲2四歩、△同歩、▲同角、△2三歩、▲1五角として、先手が角のにらみで後手陣をけん制するのを予め防いだ手と考えられます。
では、これを咎められるのか…。本譜では私は▲3五歩としました。以下、△同歩、▲同角、△4四銀、▲6八角、△5五歩、▲同歩、△4五歩、▲2四歩、△同歩、▲2五歩、△同歩、▲2四歩、△5五銀、▲2五飛、△6六歩、▲2三歩成、△6七歩成。
長手順を進めてしまいましたが、要は継ぎ歩攻めによる攻め合いを狙いました。それは実現はしたものの、結果図(上図)は後手のと金の方が価値が高くて、先手失敗です。(私の脳内では、こんな先まで読めません)
局後反省で、▲3五歩に替えて▲4六銀を検討してみました。
後手が初志貫徹で△4四銀と出るなら、▲3五歩、△同歩、▲同銀、△同銀、▲同角、△4四角、▲同角、△同歩、▲2四歩、△同歩、▲7五歩でどうでしょうか。
水匠5[3]は互角(評価値+244)と言っていますけど、後手の言いなりになるのを防いだ訳でして、私が指したい将棋になってますね。
次回は、後手側の攻め方を検討します。
【参考文献】
[1] 文部科学省、「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(いじめ関連部分抜粋版)」、https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/5aa667da-fe7f-4ea9-9ee2-7510121e6751/2d6548bb/20231016_councils_ijime-kaigi_dai2_01.pdf、閲覧日2024年5月25日
[2] 藤森哲也、「藤森流急戦矢倉」、マイナビ将棋BOOKS、2014年
[3] たたやん氏webページ、https://drive.google.com/file/d/1T-Go2KImMfKD_4m_j4fQFXrEfaGgAcS_/view、閲覧日2023年12月18日