この前に将棋道場を訪れると、新しい親子連れのお客さんがいらっしゃいました。お話ししたところ、その子は普段は別の将棋道場に通っており、近いうちにプロ棋士による昇段試験を受けるとのことでした。私にその練習相手が務まるとは思えませんが、四枚落ちの上手を持って対局したところ、小学生にしては珍しく序盤がしっかりしている印象を受けました。本来の棋力差に対して駒落ちのハンデが大きすぎるので、相手玉をほぼ受け無しに追い込んだ時点で満足していたところ、その子は私の玉を9手詰めの即詰みに打ち取りました。やりますねぇ。
その後、その子の平手の対局を観戦させて貰ったのですが、序盤を自分なりに工夫しているように感じられました。その子は後手でしたが、駒組から仕掛けまでは以下の感じでした。最近流行りの金無双急戦ですね。
居飛車の手順から山田先生の右銀急戦(3七銀戦法・4六銀戦法)の解説を思い出され、感心しながら対局を見ておりました。そういう訳で、今回は振飛車側に立って、右銀急戦を復習したいと思います。
以下が基本図です。▲3七銀のところでは本手は▲5七銀でしょうが、棒銀(▲2六銀)と▲4六銀の両含みとするためにこうしています。
まずは、居飛車が端棒銀に繰り出す場合。居飛車の囲いは4筋の抑えが弱いので、振飛車は端歩を受けずに3二銀型のままにし、▲2六銀の瞬間に△4五歩ポンするのはどうでしょうか。
居飛車は4筋を受けるために▲3七銀とするぐらいですが、将来的な▲3一角を防ぐために振飛車は△4一飛としておけば、少なくとも居飛車の出鼻をくじいた形になるでしょう。
次に、居飛車が▲4六銀とこちらへ繰り出す場合。でもこれは、振飛車が△4五歩と追い返したいですね。どうでしょうか。
ならば、▲3五歩~▲4六銀という風に、突き捨てを入れていから銀を繰り出しますか? それだと下図のような展開になって、将来的な△6四角が厳しくなりそうですが・・・。
この右銀急戦なんですが、振飛車党のプロ棋士の中には△4三銀を早めに決める方もいらっしゃっるので(下図は2024/8/22王将戦:高田五段vs西田五段)、その対抗策の一つとして▲5七銀~▲4六銀の仕掛けを含みにしつつ、序盤の駆け引きが行われているような気がします(※1)。なので、右銀急戦の仕掛けだけに注目するのは狭い見方かもしれません。
私にはそのような深い序盤知識は無いので、これまで通り5七銀左急戦を指していこうと思います。
(※1) (故)山田九段によれば4六銀戦法について、「それから、今一つの難点は四間飛車が4三銀と上がっていないと、つまり3二銀のままだと、4六銀と出ても効果が無いということである。」[1]
【参考文献など】
[1] 山田道美将棋著作集、第一巻、大修館書店、pp. 150、1980年
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