前回のブログで予告した通り、私は図々しくも、教育の目的のほんの僅かな部分を記述したいと思います。短い文章なので論にはなっていませんが、方向性ぐらいは提示できると思います。
具体例から入ります。中学数学では二次方程式を習いますが、人文系の職業に就いている方は別に無くても生きていけるでしょう。
しかし、理数系の職業には必須の知識です。私のようなエンジニアにしてみてば、二次方程式の解析解(analytical solution)を導けられないなら、線形微分方程式の解析解は尚更導けないですし、ましてや流体力学の基礎方程式である非線形偏微分方程式の数値解(numerical solution)なんて、ちんぷんかんぷんのはずです。
実際には、シミュレーションソフトのベンダーが提供した商用コードのGUIを操作するだけで、何らかの数値解は得られます。しかし、商用コードといえどもその仕組みを知らずに数値解を上司に提出したところで、一笑に付されて却下されるだけです。
一方で、中学国語では古文・漢文を習いますが、こちらも理数系の職業に就いている方は無くても仕事自体は可能です。
しかし、人文系の職業には必須の知識です。正しい文章を書くためには、日本語の歴史的文脈を理解していることが重要であり、古文・漢文はそれに手掛かりを与えるものです。例えば、ある抽象概念を表現するのに和語と漢語のどちらを使うべきかとか。
以上を纏めると、小学生や中学生の将来的な職業選択の自由(憲法第22条)を確保するために、国語も数学もバランス良く教えるべきと私は考えます。
前置きが長くなってしまいました。今回も先手三間飛車に対する居飛車の急戦策を考えます。
上図から後手は7~9筋の歩を突き捨てるのですが、突き捨ての順序が2種類あってその後の展開が変わります[1]。
まずは、私の好きな方から取り上げます。△8六歩、▲同歩、△9五歩、▲同歩、△7五歩。
▲7五同歩は△9五香~△7六歩で居飛車の攻めが決まるので▲6七銀ですが、△6五歩、▲7五歩、△6六歩、▲7六銀、△6七歩成、▲2二角成、△同玉、▲6七銀。
上図から居飛車は△3三角と打って攻めを継続するのですが、こういうマイナー戦法に対して振飛車に正しく応対されると実戦的には居飛車不利でしょうね。
次はあまり好みで無い方を。一番上の図から、△7五歩、▲同歩、△9五歩、▲同歩、△8六歩。
▲8六同歩は前述の通り居飛車の攻めが決まるので、▲8六同角と取ります。△6六角、▲7七銀、△2二角、▲9六香。
最後の▲9六香は、角の退路を確保しつつ、△7六歩に強く▲同銀と取れるようにした手です。振飛車にここまで付いて来られたら、実戦的に居飛車不利。
突き捨ての順序をどちらにするかは、対局時のその時の気分で決めようと思います。
【参考文献】
[1] 青野照市、「先手三間飛車破り」、創元社、1988年
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