昨日、指導対局で4枚落ちを指したところ、先生から「その作戦は上手くいかないよ」とのご指摘を頂きました。
しかし、残念ながら私はそのご指摘を理解できなかったので、自宅で検討して2つの作戦を用意し、本日の指導対局(2回)に臨みました。
作戦の一つは、昨日の作戦に指し手の改良を加えたもの(作戦A)、もう一つは作戦自体が新しいもの(作戦B)です。
両作戦は序盤の指し手は同一ですが、48手目で分岐します。分岐時の評価値(※1)は、両作戦とも概ね同等です。
まず、結果から申しますと、作戦Aでは負け、作戦Bでは勝ちました。
内容的にも、作戦Aでは一手一手に苦慮しましたが、作戦Bでは必然と思える手が続いて指しやすかったです。
たった2回の指導対局では先生の真意に到達し得ませんが、今回の経験で「人間の目」というものの重要性をよりいっそう痛感させられました。
加えて、コンピュータ計算は現にアマチュア将棋に影響を与えているものの、それが上達のためのツールとして真価を発揮するには、まだまだ課題があることも再認識しました。
例えば評価値(評価関数)は、あくまでコンピュータが最善手を導くために設計されたものであって、人間が形勢判断に利用するのは設計意図から外れますから。
さて、今回は駒落ちで上手を持った時の対策を考えます。
読者はご存じかと思いますが、将棋道場のお客さんの棋力は様々なので、棋力差を埋めるためのハンデ戦として駒落ちの手合いにするのが通例です。
私が通う将棋道場の手合いは下表の通りです。
参考までに初形の評価値(※2)も示します。ただし、六枚落ちには必勝定跡があるので、評価値はあえて計算しません。
今回は飛香落ちの上手の対策を考えます。これは、私が1級時代に五段の相手方と取り組んだ、思い出深いものです。
代表的な作戦は、1筋の歩を入手した後で右四間飛車に構える指し方です[1]。下手は次に▲4五歩からの角交換~▲1一歩成でと金を作るのがネライです。
しかし、私が上手の場合は相手方は5級となりますが、この定跡を知っている方には出会いません。
ほとんどの方は平手と同じように指されます。攻め棋風の方は棒銀を採ることが多いです。
そこで、今回は飛香落ちの上手の棒銀の受け方を考えます。飛車落ちにも応用できますし。
なお、以降の局面は「私が作った」ものであり、実戦では無いことにご注意下さい。
以下は、下手が角道を閉じた居玉棒銀を検討します。後で分かるように、下手が角道が開けていても同じ手順が成立します。
下図の局面では、下手に右四間飛車の可能性が残っているので、上手はそれを念頭に置いて指します。
下手の▲1五銀をみて△3五歩と指す。次の△3四銀で2筋に効きを足すネライ。
駒落ちは下手の飛車を抑え込めば大体勝つので、下図では△同金と強くいきたいですね。
次に△2四歩を打てれば盤石。意外とあっさり・・・?
【注釈】
(※1)思考エンジンは水匠5[2]、計算ノード数は20億。
(※2)思考エンジン・計算ノード数は※1と同様。ただし、水匠5で駒落ちを計算するのは設計意図では無いことにご注意下さい。評価値はあくまで参考です。それでも興味深かったのは、香落ち上手は振飛車にするのが定跡ですが、水匠5ですら飛車を振ることです。
【参考文献など】
[1]所司和晴、「【新装版】駒落ち定跡」、日本将棋連盟、2023年
[2]たたやん氏Webページ、https://drive.google.com/file/d/1T-Go2KImMfKD_4m_j4fQFXrEfaGgAcS_/view、閲覧日2024年1月7日
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