冒頭よりそれはそこにあり
姫は既にそれと共に在る
…
僕らは巨大な喪失の果て 初めて虚無と向かい合う
そしてそこで初めて 宿命に否応なく従順な己(又はニンゲン)というものを見る
突き付けられる
それでも僕らは歩く
歩くしか無い
その先になにもないことを知りながらも
死が許されるその日まで
その死は安らぎであると
僕は思う
思っている
…
姫の死に対する
姫自身の評価は示されていない
しかし臨終の傍らに座す乞食法師は言う
極楽も地獄も知らぬ不甲斐ない女の魂であると
不甲斐ないとはナンゾや
この壮絶な闘いを全うせし
この姫宮の魂のどこが不甲斐ないのだ
姫は地獄を生きた
姫は地獄と認知しなかったかも知れない
しかしそれは見紛うなき地獄
僕らと同じ地獄ではないか
姫はいくつかの論に散見されし「意思せぬ者」ではない
けして 無い
意思を持ち
宿命を静かに受け入れることを己で選んだ
己で考え 己の意思で
「不甲斐ない」は
いくつかの論に散見されるような
否定や拒否 まして蔑みではない筈だ
いまそこを探っている
あと…
これは書かれていないのだから無理だろうけれど
姫が虚無に至る過程も 僕は知りたい
芥川よ
生まれたその肉体が既に虚無と戯れているなどあるのか?
それが僕には想像できないんだ
…
今日はここまで
覚書として
【語り 配信中】
珠玉の短編 声と音 想像力が織り成す豊かな物語を是非
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