身体の景色 (karada no keshiki)

六の宮の姫君2

虚無に至る過程は書かれていない
冒頭よりそれはそこにあり
姫は既にそれと共に在る


僕らは巨大な喪失の果て 初めて虚無と向かい合う
そしてそこで初めて 宿命に否応なく従順な己(又はニンゲン)というものを見る
突き付けられる

それでも僕らは歩く
歩くしか無い
その先になにもないことを知りながらも
死が許されるその日まで

その死は安らぎであると
僕は思う
思っている


姫の死に対する
姫自身の評価は示されていない

しかし臨終の傍らに座す乞食法師は言う
極楽も地獄も知らぬ不甲斐ない女の魂であると

不甲斐ないとはナンゾや

この壮絶な闘いを全うせし
この姫宮の魂のどこが不甲斐ないのだ

姫は地獄を生きた
姫は地獄と認知しなかったかも知れない
しかしそれは見紛うなき地獄
僕らと同じ地獄ではないか

姫はいくつかの論に散見されし「意思せぬ者」ではない
けして 無い

意思を持ち
宿命を静かに受け入れることを己で選んだ
己で考え 己の意思で

「不甲斐ない」は
いくつかの論に散見されるような
否定や拒否 まして蔑みではない筈だ

いまそこを探っている

あと…
これは書かれていないのだから無理だろうけれど
姫が虚無に至る過程も 僕は知りたい

芥川よ
生まれたその肉体が既に虚無と戯れているなどあるのか?
それが僕には想像できないんだ


今日はここまで
覚書として

【語り 配信中】
珠玉の短編 声と音 想像力が織り成す豊かな物語を是非
⬇⬇⬇

OGPイメージ

芥川龍之介「羅生門」 語り 生演奏 蝋燭 炎 朗読

語り:オカノイタル ピアノ:松田幹 ギター:馬渕格

短編小説を使用した語りをゆっくりと発表してゆきまます
疾風の如く過ぎてゆく日々 歩みを...

youtube#video

 

OGPイメージ

太宰治「魚服記」 語り 生演奏 蝋燭 炎 朗読

語り:オカノイタル ピアノ:松田幹 ギター:馬渕格

短編小説を使用した語りをゆっくりと発表してゆきまます
疾風の如く過ぎてゆく日々 歩みを...

youtube#video

 

OGPイメージ

太宰治「貧の意地(新釈諸国噺より)」 語り 生演奏

語り:オカノイタル ピアノ:松田幹 ギター:馬渕格

短編小説を使用した語りをゆっくりと発表してゆきまます
疾風の如く過ぎてゆく日々 歩みを...

youtube#video

 
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「演出ノート/論考等」カテゴリーもっと見る