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ミケマル的 本の虫な日々

『ねじまき鳥クロニクル』 第2部 その2


 

 『ねじまき鳥クロニクル』 第2部 予言する鳥編
昨日に続く2回目です。
1回目はこちらです

今回もあらずじになるので、ネタバレしてます。

 とにかく、この第2部は井戸インパクトが凄い!
ねじまき鳥と言えば井戸❗️って感じで私も他のことはほとんど忘れてしまったけれど、井戸に入ったことは覚えてましたから(笑)
さて、井戸に降りた僕はクミコの事を出会いから思い出したり、意義のありそうな夢を見たりした後に寝てる間に梯子が引き上げられてしまった!
え〜⁉️  どうして?とパニックになる(そりゃなる)けど、その後あきらめの気持ちになるのでした。
この小説だけでなく、村上さんの主人公はおかしい事や怪しい事が起こってもすぐに折り合いをつけるな〜。

 縄梯子はどこ行っちゃったのか?
近所に住む笠原メイが上げちゃったのだった。やれやれ。
メイちゃんはこのお話に出てくる中でまれな普通の人(女の子)
メイちゃんはメイちゃんで色々とあるけど、夢の中に出てきたり予言めいた事を言ったりはしない。
むしろ、まだ十代で親や学校や社会などに反抗心があるけど、普通に理論的だし常識的な人の範疇だと思う。
僕はこの人によって現実世界の中のバランスを保っているようなところもあるなと思います。
でも、メイちゃんは時々思春期的な衝動?にかられる事があり、この時は梯子を外してしまった結果を見てみたいという恐ろしい気持ちになったよう。

 なかなか梯子を下ろしてくれない間に流石にだんだん衰弱してくる。
そこに、加納クレタが現れて縄梯子を下ろしてくれて、僕は井戸から上がる事ができました。よかったよかった。
クレタはこの後再び何処かから裸で!現れてベットに寝ているのだった。
そして、自分と綿谷ノボルの関係、自分が霊媒としてマルタによって5年間働いていたと話すのでした。
この加納マルタとクレタの姉妹が1部と2部の中で一番の謎ですね。

 しかしよく読むと、マルタとクレタは5歳違いの姉妹で上に兄がいるのです。
これはクミコと死んだ姉と綿谷ノボルである兄の兄弟と同じ構成になってる。
そして、クレタは綿谷ノボルに汚されたと言う。
(クレタは娼婦として働いていたので、いわゆる汚されたとは違う意味で)
クレタはクミコと同じ立場にいるようにも思えるのでした。
クレタは霊媒の形で魂の娼婦として僕の夢の中で2回交わるのだけど、2回目はクミコの服を着ていて、電話の女に途中で入れ替わる。
綿谷ノボルに汚されたことで、魂と肉体が分離できるようになってしまったクレタ。
もしかして、クミコにも同じような事が起こったのか?
クミコの姉にも同じような事が起こったけれど、それに耐えられなくて自殺したのか?
という疑惑がここで出てくるのでした。

 井戸に降りて、クミコとの事を思い出し、謎の夢を見て、何かのヒントを得た?と思ったけど、漠然とした感じしかない。
やっと井戸を出たら、クミコからの手紙が来てた!
クミコは愛してはいない人と浮気(セックス)をした事、自分にはつっかえのようなものがあった事、もう一緒には暮らせないから別れたい事、などが書かれていたのでした。
自分では制御できない理不尽な性欲があった事に驚いたことと、つっかえのようなものとの関連もよくわからない。
でも、あなたを愛していたし結婚したのは本当に良かったと。

 この手紙を読んで、僕はクミコの事を全く知らなかったと気がつくのだった。
そして、6年の歳月は何の意味があったのだろうと。
僕はクミコが他の人と付き合ってたことは全く気がついてなかったということにも戸惑うし、クミコの告白にも混乱する。
自分で言ってるからそうなんだろうと思うけど、なんか納得いかないし、怒りよりは混乱って感じ。
僕は気付いてないけど、クミコさんにとっては僕と結婚して暮らしていた時期は大切な日々だったんだろうと私は思いました。

 手紙は来たけど、クミコがどこにいるか、どうしてるかは全くわからないまま。
そこにさっき言ったようにクレタさんが来て話をすると、綿谷ノボルの異常な性癖がはっきりしてくるのでした。
クレタさんは霊媒としての働きも辞めたいと思い、僕と最後に娼婦として寝てくれと言う。
そしたら、もう霊媒としての自分はなくなり新しい人間になれると。
そして、僕はクレタさんを娼婦として抱くということになり、クレタさんはめでたく新しい人間になってクレタと言う名前はなくなったと言うのでした。
さらに、クレタ島に行くから僕も一緒に行かないかと誘う。

 僕はクミコさんの手紙を読んで混乱し、絶望的な気持ちにもなっていたので、クレタ島に一緒に行こうかなと思い、準備もしてみる。
でも、叔父さん(家を貸してくれてる)と話をして、その影響で新宿で人を見ていたら札幌で出会ったギタリストと思われる男を見かけて気になる。その男と殴り合う(ここもめちゃくちゃシュールですが)
その後見た悪夢で僕はもう逃げられないし逃げるべきではない、クミコを自分の手でこの世界に引き戻して取り戻すのだと思うのでした。
クレタ島に行くのはやめるのだけど、クレタさんが最後に「良いニュースは小さな声で語られる」という謎の言葉を置いていくのでした。

 8月の終わりにメイは学校に戻り、井戸のある空き家は壊され、間宮中尉からの手紙を受け取るけれど、僕はクミコを待つ生活をしている。
10月になったある日、日課である市民プールで泳いでいる時に大きな井戸に浮いている幻想を見るのでした。
その時に小さな風の音、誰かが誰かを読んでいる声、日食のような物を見た時に聞こえた馬の鳴き声、夢の中のホテル208号室の匂い。
その時に、「電話の女はクミコだったんだ!」と僕は気がつく❗️
あのくらい部屋にいたのはクミコであり、あそこはクミコ自身が抱えている暗闇の領域だったのだと。
クミコは本当は僕を必要とし、様々な方法でそれを伝えようとしていたのだと。

 そこには暖かく美しく貴重なものがちゃんと残されている。
少なくとも僕には待つべきものがあり探し求めるべきものがあるのだ。

 僕はクミコの手紙を読んで一度は額面通りに離れるべきなのかと思ったけれど、クミコは自分の中の闇の部分に止まっていて、そこから出るためは僕が必要であり、クミコは僕の事を求めているんだと確信したところで2部は終わります。

 また長くなってしまいました。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。



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