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ミケマル的 本の虫な日々

『ねじまき鳥クロニクル』 第2部 予言する鳥編


 村上春樹再読
『ねじまき鳥クロニクル』第2部 予言する鳥編

 第1部 泥棒かささぎ編についてはあらすじ、感想を書きました。

今回は第2部について。



 この小説の題名、ねじまき鳥は本の中の創作ですが、「泥棒かささぎ」「予言する鳥」そして第3部の「鳥刺し男」もクラシックの曲から来ています。
内容と関連しているのかしていないのか?という疑問もありますが、それはとりあえず置いておきます。
以下、ネタバレしてます。

 この第2部では、最初に僕の妻クミコが家に帰ってこない!という大きな事件が起きます。
第1部は猫を探したり、妻のクミコの生い立ちや二人のやりとり、ちょっと変わった登場人物が出てきますが、大きな事件はおこらなかった。
間宮中尉の戦争の話が出てきて、この話何処にいくのかな?と思ってたら、第2部の最初に大きく話が動きます。

 僕はなんで急にクミコがいなくなったのかわからず困惑していると、加納マルタから電話があり綿谷ノボルと会う。
彼が、クミコは他の人と恋愛して出て行った、そして別れたいと言っていると言うのでした。
僕はクミコの口から聞かないと何も言えないし、綿谷ノボルについて思っている事を言ってやるのでした(彼には深く歪んだところがある)
ここから、僕がクミコを取り戻すという事が重要事項になります。
誰から取り戻すかも、どこから取り戻すかも、そもそもクミコの気持ちさえもわからないけれど。

 しかし、2部の主役はある意味「井戸」とも言えましょう。
井戸に導いたのは間宮さんと本田さんのお二人。
本田さんは最初に「上に行くか下に行くか、下に行くなら一番深い井戸を見つけてその底に降りればよろしい」と言っていた。
間宮さんは外蒙古での作戦中に井戸に落とされた経験を手紙で詳しく語ります。
それを読んで僕は空き家の枯れ井戸に降りることにする。
なんでそうしたかは書いてないけど、クミコがいなくなった事に対して全く納得できないし、綿谷ノボルに対する違和感と憎しみもあるし、訳のわからない出来事の説明もつかないし、自分と向き合ってゆっくり考えたり感覚を研ぎ澄ませたりしたいと思ったんだろうと思われます。

 そして、井戸の底でクミコとの出会いから今までを思い出してみる。
そうすると、最初からクミコには他人が入り込めない領域があって、心ここにあらずの時が時々あったなと。
3年前に妊娠した時に、特にそれがはっきりと出てきたのを思い出します。
経済的に子供を産むのは難しい時期だけど、僕は堕胎手術を受けさせたくないと思っていた。
でも、クミコは経済的理由ではなく、妊娠自体を拒絶しているようだった。
「時々、何が本当で何が本当じゃないのかわからなくなるの」と言う。
そして、僕が出張している時に一人で手術を受ける。
この時に、クミコは僕に本質的なことを何か伝えたいけれど、今はうまく伝えられないと言うのでした。

 クミコとの事を思い出せば思い出すほど、何かを抱えているのに僕には言えなかったんだなと言う事がよくわかってくるのでした。
それが、今回の家出の本質的な要因だろうけれど、それが何なのかは分からない。

その後、ホテルの夢を見る。
綿谷ノボルがTVの中で喋ってる(嫌悪感を感じる)、ボーイをつけていくと208号室に、その中に謎の電話の女がいるのです。
その女は明かりをつけないでと暗い部屋にいるのです、
私はあなたを知っている、あなたも私を知っている、でも私は私の事を知らない。
私の名前を思い出してと言う。
威嚇的なノックの音がして、女は逃げないとだめと言って、壁を抜けて逃げてと。
僕は壁を抜けて井戸の中に逃げるところで目が覚めるのでした。
そしたら、その時に顔が熱くなり、後にあざができていた事がわかります。
この夢の中の女性(謎の電話の女性)は誰なのか?

 この小説では、夢も重要な要素。
謎の姉妹(謎の人物だらけですが)の妹、加納クレタは自覚的に夢の中に入る事ができるらしいし、僕の見る夢の中で起こることが重要事項になっています。
夢なのか現実なのかわからないように描かれている。

 兎にも角にも、僕が井戸に降りた目的は十分果たせたと言えるかな。
しかし、その後井戸に掛けてあった梯子が寝てる間に引き上げられてしまっていた❗️と言う驚きの展開が待っています。
2部は色々とドキドキするのだった。
 
 また長くなってしまいました。続きはまた書きます。

 

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