『街とその不確かな壁』 村上春樹
読み始めたのは今週の初めくらいですが、1章はゆるゆると読んでいました。
1章の初めのあたりは、ゆっくりとした感じで、思ったよりも長く読む感じかな〜と思っていたら、今日の朝に読んだ1章の終わりあたりからグッと引き込まれました。
さすが!村上春樹様!って感じで、読むのが止められなくなって、夕方までに読了。
今日はお昼と夕ご飯を作ったて食べたのと、エアコン取り替えで動かした本棚に本を入れるのを少しだけやったけれど、それ以外ずっと読んでたことになります。
以下、若干ネタバレします。
「世界の終わり」の街がやはり出てきますし、この本もこの街をめぐるお話でもあります。
それに対比するのは「ハードボイルド・ワンダーランド」ではなくて、僕の住む通常の世界(と思われるところ)
村上さんは初期(1980年)に書いた、『街と、その不確かな壁』という中編小説があって、その小説が納得いかなかったので、その話ともう一つのストーリーを交互に描くという手法で『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を書いたそうな。
それが36歳の時。
私はこの本がとっても好きでした。
それで納得がいったと思っていた村上さんだったけれど、71歳になった時に、この物語に対して異なる対応があるのではと思うようになって、この本を書いたとあとがきにありました。
最初に書いてから40年経って年季を積んだ作家として再び書いてみようと思ったと。
ちょうどコロナの時期に重なったことも、何かの意味があったかもしれないと。
5月10日にこの本を読む前に『世界の終わりとハードボイルド・サンダーランド』のあらすじと最後を読み返してみた記事を書きました。
世界の終わりの街がそのまま不確かな壁のある街として出てくるので、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を読んでいる方がわかりやすいとは思います。
私は去年再読して、さらに直前に思い出したのでよかったかなと思います。
でも、読んでなくても、街の感じはわかるとは思います。
同じ街として出てくるけれど、街がなぜ存在するかという設定は違う。
1部ではティーンエイジャーの君とぼく、そして街。
2部はガラッと変わった場所にお話の中心が行きます。
私は2章から俄然面白くなりました。
場所も登場人物も大きく変わるけれど、やはり昔の君との思い出や街がその中心にある。
そして、図書館も。
この図書館がとってもいい感じの図書館で、それも読んでいてよかったところ。
最後の3部では、またあれ?そうだったの?っていう。
複雑な入れ子状態になったお話なんだな〜と再認識して、もう一度読み直してみないとと思った次第です。
『世界の終わり〜』よりもこのお話の方が街と現実の対比なので、よりリアルに自分に近い世界に感じます。
現実世界や精神世界の中にあるもう一つの世界、自分とはなんだろう、生きているってどういうこと、などなどをよりわかりやすく?問題提起されているように感じました。
それらの事を難しくではなく、こんなに次が読みたくてやめられないって感じで読み進めさせる村上さんはやっぱり凄いなと思うのだった。
とはいっても、またまた一気読みしちゃったので、詳細と言うよりもイメージとして頭の中にふわふわしている感じです。
とりあえずのまとまりのない感想を書いてみました。
また、もう一度ゆっくり読み直してみようと思います。