磐田演劇鑑賞会の皆様へ
はじめまして、グループる・ぱるです。3月の例会「片づけたい女たち」ではお世話になりますが、どうぞよろしくお願い致します。
「片づけたい女たち」は二〇〇四年の一月に初演の幕を開けました。作・演出家の永井愛さんのご自宅に集まり、どんな作品にしようか相談する台本会議が行われたのですが、何といってもとにかく姦しい面々。遅れてくるもの、道に迷ってつけない~と電話してくる者…と始まる前から大騒ぎ。やっと揃ったかと思えば話はすぐに脱線して、ただのお喋りに。そして、止めるつもりがつい話に加わってしまう永井さん。いつまでも本題に入れず、本来の台本会議の目的は果たせませんでした。しかしその時、才女永井さんは「これもまた台本会議だった」と閃いて下さり、「本題に入れない」「片づけられない」そういう女たちに向かって芝居を書こうと、決めたのでした。
物であふれている部屋という設定が決まった後、美術プランナーと装置の打ち合わせになりました。どの程度の物量を…となった時に、スタッフの一人の部屋が、テレビのニュースに出てくるゴミ屋敷のようにすごい状態だということを知り、みんなで訪ね、写真を撮り、参考にしました。かくしてその後この作品の一番の売りともなった「物で溢れかえる部屋」という装置が出来上がったのです。
空き缶の話をしているときには空き缶を持ち、服の話のときには服に触っていないといけない、という具合で、物とセリフは連動しています。そのため、すべての物の置き場所は正確に決まっています。ホントに散らかしただけのゴミだったらどんなに楽でしょう。でもこの舞台上の数多の小道具たちはすべてきちんと計算され、毎回同じ位置に置かれています。この気の遠くなるような細かい作業が評価され、舞台監督が「読売演劇大賞・優秀スタッフ賞」を受章したほどです。もはやベテラン女優三人が認める、最強の共演者にして主役なのは「ゴミ」なのであります。
この作品は三人だけのお芝居です。人数が少なく出ずっぱりのため、当然セリフの量も膨大です。そこにごみと連動した動きが決められていますので、頭も体もフル回転で演じています。初演からおかげ様の好評で再演を繰り返し、すでに百二十ステージ、九年の年月が経ちましたが、初演の頃の勢いそのままに、テンポの良いお芝居をお見せできるよう、日々精進しております。名実ともにグループる・ぱるの代表作となり、私たちがとても大切にしている作品です。この「片づけたい女たち」で初めて静岡ブロック、初めての磐田演劇鑑賞会さんへお邪魔できるのは本当にありがたく嬉しいことです。緞帳が開くと同時にすごい光景が現れますので、皆様遅れずにいらして下さいね。皆様の元気な笑顔にお会いできる日を、一同心待ちにしております。
グループる・ぱる 制作 有本佳子
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