時代を超えて生き生きと語りかける
生きていくことのすごさと
平和への真摯な思い
舞台の魅力的な女たち、
期待にたがわぬ評価を受けて登場
後半二作品、来年はさらにパワーアップ
【その1】
劇団俳優座公演 「樫の木坂四姉妹」
九月二十二日(日)午後6時30分開演
昭和19年若かりし長女、兄との別れの夜
物語は、昭和二十年八月九日、長崎に原子爆弾投下によって人間としての幸せを奪われた四姉妹とその家族が描かれる。
西暦二〇〇〇年(昭和五十五年)原爆投下で父母も妹も奪われた三姉妹の老いた姿が舞台にあった。彼女等が過ごす家は、原爆で助かった樫の木の生い茂る下の家だ。
そこでの三姉妹は、老いと共に増す原爆症への不安と生活と……。三人の語りの中に一九四四年、戦地から一時帰郷した兄と父母等を交えた幸せの時間……
その兄は翌年戦死……一九四五年夏、広島原爆後投下三日後広島原爆よりも大きな原爆が彼女らを襲った。
残る悔みとむなしさと、戦後をひたむきに生きた三姉妹。 なんのてらいもなく描かれる舞台は深い感銘に包まれる。
「死者が現在を生きる者の支えになる、ということが往々にしてある。遣り方はそれぞれに違えど、どの民族もが先人の霊に敬虔な祈りの場を持っているのは、はるか昔からその事を承知してきたからだろう」
【その2】
第201回例会 文学座公演 「 く に こ 」
十二月一日(日)PM六時三十分開演
向田邦子の青春を描く、栗田桃子の好演に
角野卓造等 二役陣も見事
作者中島淳彦・主演角野卓造のコンビのものは、「ゆれる車の音」でいくじのないテキヤを描いて大いに笑わせてくれたコンビだ。
今回は、向田邦子の青春を描いてくれる。懐かしい戦前の家庭を、邦子の成長とその家族の心温まる舞台を展開する。
邦子を演ずるのは、「父と暮せば」の娘を演じた栗田桃子だ。劇評はべたほめだ。
「何よりも言っておきたいのは魅力的な栗田桃子さんの演技です。しんとした哀しさを内側にかかえつつ、でも独自の使命感を持っている。戦争のかげを負った少女時代を送りつつ、自分を自分たらしめ、何かをつかもうとする。おきゃんな振る舞いの底に醒めきった意識がある。そんな女性像をよく出していた」
また角野は父親のうち弁慶ぶりと、二号をかかえる父親でもある。配役では二号になるのが母親と同じ役者がやるというからおかしい。五人が二役を演ずるという可笑し味たっぷり。
磐田演鑑に入りましよう
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