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思考内リゾート

アガサ『ハロウィーン•パーティ』する?後編

アガサ・クリスティの推理小説『ハロウィーン・パーティ』の中のプログラムを紹介するシリーズの後編です。

前回も書いた、この話の中で出てくる『ハロウィーン・パーティ』のプログラムを今回は名前だけざっと載せておきます。(それぞの内容は前回を参照して下さい。)

1.~開会の挨拶~

2.箒の柄競争

3.小麦粉切り

4.リンゴ食い競争

5.ダンス

6.鏡覗き(?)

7.夕食

8.賞品授与

9.スナップ・ドラゴン(ぶどうつまみ)

以上です。

で前回、解説をもう少ししたかったプログラム、

6.鏡覗き(?)
7.夕食

について、書いていきます。

その後はもう少しこの『ハロウィーン・パーティ』の序盤のストーリーに触れていこうと思います。

さて、プログラムの6番目の『鏡覗き』についてです。
内容は濃そうな割に『スナップ・ドラゴン』のような特定の名前がないのが残念です。

どんなことをするかというと、他のプログラムと違って、競技ではなくイベントです。

わざわざ魔女顔とも言える女性を呼んで、進行役をしてもらいます。
この人、もともと芝居好きなんでしょう。
低音の声で雰囲気作り、魔女になりきって進めていきます。
どこかの掃除のおばさんらしいのですが、身を張って楽しい人ですね。

子供達が会場に集まったところで、一人の女の子に手鏡を持たせます。
すると、何ということでしょう!

灯かりが消え、一条の光が手鏡を照らし込み、なんとそこに未来のだんなさんが肩越しに見ている姿が写るそうです。

そして灯かりが付くと今度は、その未来のだんなさんの映った写真が天井から降ってくるそうで、女子は大はしゃぎです。
どうもその頃の歌手を元に作ったコラージュ写真が降ってくるみたいです。

すごい!!と思いませんか。
乙女が喜びそうな企画で、もちろん女子は喜んでいる模様です。

会場のテンションは上がりまくることでしょう。自分の番がいづれ回ってくることで尚更に。
ハロウィーンという時期に、このどこか神秘で魔術的なイベント、盛り上がることこの上無しです。

男子がこれをする様子が書かれていないので、女子限定のようです。
男の子で、逆のバージョンをしないのは何かしら可愛げがない感じが容易く想像できるからでしょうか。

うーん、確かに喜び方やテンションは女子とは違うかもしれませんが、男子だって盛り上がるでしょう。
ですが、それは開催側の大人が単純に、そんな光景を見たくないって事情だけな気もします…。

このプログラムは、どうにも全ての面において気合が入っていて、特殊なものを感じますね。

どういうしくみで、そうなるかは実際、本を読んでみて下さい。ネタバレというほどでもない方法です。       

*ちなみにこのプログラムで殺人事件が起こるなら、この話は映画化にでもなっていたのでしょう。トリックも演出ももっと凝って派手なものになっていたと思います。

ただこの場に居合わせていたオリヴァ夫人は冷めきっていますね。心の中で写真の男をけなしさえしています…。

7.夕食

リンゴ早食い競争の後に夕食にするのは正解ですね。
主催者側からすると、先にリンゴでお腹をふくらませておくのがが正しいのでしょう。

パーティの食事は、私もとても興味あり、期待していました。
その夕食の内容はと言いますと、


『おいしい』アイス・ケーキ
セイボリー(オードブルやデザートに出す辛口の料理)
クルマエビ(まさか生で刺身感覚ではないでしょう。クルマエビと書いたらイギリスでは定番の料理があるのでしょう)
チーズとナッツのお菓子
など、

これを子供達は腹いっぱい食べたそうで。
私のイメージと食事内容は違っていました。

私的には、『カボチャのパイ』だとか『カボチャのスープ』だとか『カボチャのプディング・ケーキ』など、カボチャ料理のハロウィンらしい料理を期待したのですが、ひとつもありませんね…。
本の中には、たくさんカボチャが飾られているとあるので、それらを使用した料理が何かしらあるのかと。

せめて『チーズとナッツのお菓子』に『(おつまみによくある)カボチャの種』に入っていても良いかも。

しかしそういえば、『オレンジのカボチャは観賞用』と聞いた事、あるいは花屋さんで『食べられません』と書かれていた事を思い出し、料理には使えないのだろうと一人納得しておきました...。
オレンジのカボチャは、スーパーの野菜売り場にも置いていませんもんね。

私達は『ハロウィン』には、カボチャの煮付けくらいは食べましょう。

以上、前回の続きでした。

肝心の物語はどんな感じかと申しますと、

準備中のハロウィーン・パーティ会場に、女流推理小説家のオリヴァ夫人がいたことで、13歳の少女、ジョイスが「あたし、前に人殺しを見たことあるのよ。」と話します。

しかしその場にいた大人も子供もみんな、普段の彼女の虚言癖的な行いを知っているので、作り話だと信じなく、逆にその場に推理小説家がいることで、オリヴァ夫人の興味を引こうとしているようにしか思っていないのでした。

そして、パーティの後、ジョイスはリンゴ食い競争の時に使用したバケツに張った水に首を押し付けられて、殺されていたのを発見されたのでした。

こんな悲惨な事件が起こった後も、みんなは、あの殺人現場目撃発言のことなど全く気にせず、ただパーティの時、偶発的に何者かが窓から忍び込んで、彼女を殺したとしか思っていないようです。

オリヴァ夫人の方は、自分が会場にいたことで、こんな事件が起こってしまったと心苦しさも感じています。

果たして、

誰がジョイスを殺したのか?

パーティ会場にいた18人のうちに犯人がいたのか?

それとも会場の準備で手伝いにきて、帰った者の中にいるのか?

みんなが思うように突然の訪問者によるものか?

ほんとにジョイスが殺人現場を見たことがあるのか?

それに該当する事件が村で起こった事があるのか?

…調べ始めるエルキュール・ポアロなのでした。

この後どうなるか、興味がある方は是非、読んでみてください。

オリヴァ夫人、元刑事や村の住人に詳しいその妹など、ポアロ側が色々情報を得るのにかなり有利な人物が登場してきて、安心感があります。
話によっては、時々孤独なポアロ物もありますからね。

今回、後編も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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