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思考内リゾート

アガサ『ハロウィーン・パーティ』する?中編

アガサ・クリスティの推理小説『ハロウィーン・パーティ』の中のプログラムを紹介するシリーズの中篇です。
前回、ご覧になってない方、大丈夫です。まだプログラムの内容の紹介は始まっていません。

パーティのプログラム内容紹介の前に、アガサ・クリスティ『ハロウィーン・パーティ』について導入部と、簡単な説明しておきましょう。

この物語は、アガサ・クリスティー作品の代名詞と言っても過言ではないエルキュール・ポアロが活躍するのですが、
更にもう一人、ヒロイン的な女性が出てきます。

最近では日本の推理小説でも筆者と同じ名前の探偵などの登場人物がその作家の作品に出て来て活躍することも珍しくなく、
アガサの小説にも本人の名前とは違えど、推理小説家の女性が登場します。

ポアロと行動をともにすることがたびたびあり、この女性がなんとなくアガサの分身のように思える(今の通説ではそうらしいです)そんな女性、『オリヴァ夫人』(割りかし年齢は上です)が、殺人事件に巻き込まれるのがこのお話です。

事の発端がオリヴァ夫人が友人に連れられ出掛けた先での、子供達のハロウィンパーティーでの事件です。前回お話したように事件はこのブログでは取り扱いません。

会場となったのは、ミセス・ドレイクのジョージ王朝風の赤煉瓦の家『りんごの木荘』。

ハロウィーパーティの対象者は10歳から17歳までのティーンエイジャーのグループで、みんな顔見知りのようです。

なので保護者や地元の大人が主となって、飾り付けをして、それをその子供達が手伝ったり、手伝わなかったりです。

けっこう大人が真剣に本格的に飾り付けをしているのがうかがえます。
派手な色のガラスの飾り玉を適当な高さにぶら下げたり、階段を赤や青の照明で照らしたり、
本場(?)イギリスなので、もちろん黄色いクリカボチャ、ペポカボチャのカボチャをたくさん飾っているようです。

しかし、この会場となる家の主、ミセス・ドレイクによれば、このパーティ、純粋なハロウィンパーティーではなく、

“『十一歳以上』(イレブン・プラス)パーティー”とし、

それは『エルムズ校(多分地元の高校)を離れ、これから他の学校に進学しようとしている人たちのためのパーティー』と位置づけ、宣言している感じです。
というのも以前この『イレブン・プラス制度』というものがあって、そのテストに受かると『グラマー・スクール』、
『それほど頭のよくない子は、セカンダリー・モダンというような学校にいく』らしいです。

ミセス・ドレイクは暗に、他の学校に進学する、頭がいい子を祝福するためのパーティーとしたいようです。

(オリヴァ夫人いわくその学校の呼び方に関しては『ばかばかし呼び方』らしいです。どうも意味から読み取って、一流の学校とか三流の学校などの呼び方よりもひどい感じでしょうか。)

けれど、その直後、この地域で学校教師をしているミス・ホイッティカーに『イレブン・プラス制度はもうだいぶ前に廃止された』と指摘されます。
教育者の立場として、あまり好ましくない制度なのか、それともミセス・ドレイクの思惑に気付いたのか、ミス・ホイッティカーは黙っていられなったんですね。

もしミセス・ドレイクの個人的な気持ちが入っていたら嫌な感じですね。
自分の子供も参加していて(この時点ではグラマーの方へ行くとかわかりませんが)、お披露目パーティーも兼ねているつもりでしょうか。

まぁ、ミス・ドレイクは、自分の家を会場として提供するにはそれなりの動機と思惑があって然りかもしれませんね。
でもフル大人の事情です。

子供のためのパーティなのに...と言っても10歳から17歳までなので、ちょっと微妙ですかね。

こんな中で、パーティーの準備を友人の手伝いをしに行った割に積極的とは思えないオリヴァ夫人です。
ひとり壁際でハロウィンの話を独り言のようにしゃべったり、りんごをかじったり、長いすに座ったりして、まったくの人事なのが面白いです。
最初から、このハロウィーン・パーティには興味がないのが丸バレです。

オリヴァ夫人が幼い頃には『トリックorトリート』のような楽しむイベントがまだなかったのか、そんな思い出話は出てきません。
しかもなんとなく感謝祭(サンクス・ギビングディ)とハロウィンをごっちゃにしてしまっている感も。

そしてパーティの開始は夜7時半です。いい感じです。
事前の準備に加わってない子供達が集合してきます。

本題であるハロウィーン・パーティのプログラムは(昔からの伝統ではなく、大人の思いつきなようなことが書かれていました)

1.~開会の挨拶~

2.箒の柄競争
各自、自宅ですでに作ってきた、装飾した小さな箒の模型の柄のデザインを競う芸術点を争う競技。一等から三等まであります。

3.小麦粉切り
小さな温室の中で行われる。
コップ内に押し固め、それを逆さにして、コップを抜いた小麦粉の上に6ペンス硬貨を置き、硬貨を落さないように小麦粉を削り落すゲーム。
硬貨が落ちると離脱し、最後に残ったものが勝者として、6ペンス硬貨がもらえる競技。どうもひとつをみんでちまちま遊ぶらしい。

4.リンゴ食い競争
図書室(どうも本がたくさん置いてある部屋)で行われる。
ブリキのバケツに入ったやわらかめのリンゴを早く食べる競技。水浸しになるらしい。

5.ダンス
電気が消えて、点くたびに相手が代わる魅惑のダンスタイム。

6.鏡覗き(?)
女の子限定のイベント。未来の恋人が鏡に映り、その人の写真が上から降ってくるという不思議なイベント。(詳細は次回で)

7.夕食
おいしそうなものいっぱいの楽しい食事タイム(詳細は次回で)

8.賞品授与
賞品によって、それぞれ悲喜こもごものシーン。
特に何を貰っているかの記載はありません。

8.スナップ・ドラゴン(ぶどうつまみ)
食堂での、大きな皿にブランデーで燃えている干しぶどうの山から、つまみだして食べる遊び(遊びなのか...)。
炎を扱う、ハロウィーンパーティ最大の山場であって見せ場、クライマックスのショー!!(なのでしょうか...)。
ドラゴンとはまたもいい感じです。

でお開きになります。
本編でされるミス・ドレイクの説明とは順序が幾分変わっています。

『閉会の挨拶』がないのがいいですね。日本なら、『家に帰るまでがパーティです』って話になりますからね。

ざっとこんな感じです。
子ども会の季節イベントのようですね、公民館を貸し切る感じの。

どんな勝負事にも弱い私は、こんなパーティには出たくありません。
しかし、そこは大人主催のパーティー。
そんなうだつのあがらない私のために、『箒の柄競争』があります。
前述したように、各自持ってきた小さな箒の模型の柄の装飾を争う競争で、これは、うまく勝負に勝てないコのための競技で(その辺の説明もちゃんと書かれています)、審査制度で大人の力により持ち上げて救いの手を差し伸べる『どんくさい私向け』の競技でもあります。

ただ、それなら競技順位のバランスを取るために、一番最後に行ってほしいです。
だって一番最初の競技なら、「あの冴えないコ、後の競技でもきっとビリばっかりよ、だからこの競技で一番いい順位あげとかないと」と見切られているようなものじゃないですか。
だから最後まで様子を見て、『あのコ、結果がかんばしくないから、この競技はあのコに華を持たそう』と手心を加えるならわかりますが。
しかしこのプログラムを最後にしたらかなり地味なので、私が力説でそう提案しても『却下』は確実でしょう。

それより、どんくささに輪をかけた私は案外、箒の模型も家に忘れてしまっているかもです…。

以上、これが『ハロウィーン・パーティ』のプログラムでした。
今回、中編はここまでです。

次回、後編では、詳しくピックアップしてみたいプログラムの『6.鏡覗き(?)』、『7.夕食』と他のプログラムををもう少し振り返り、あともう少しストーリーを見ていくことにします。

なるべく早くの更新します。
中編も読んでいただきありがとうございました。

コメント一覧

kirakira0611
ハロウィンパーティー、大好きな本です。UPを楽しみにしてます。
また読みたくなりました。
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