*中国、南シナ海で敗北!
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
(2020年8月28日号)
*中国、南シナ海で敗北!
25日、中国国防省は「米軍の偵察機U2が中国軍の演習区域に侵入した」と非難の声明を発表した。非難とは言うものの国際政治では建前と本音は全く別物。この非難声明も軍事の視点で見れば、実は「米軍機を追い払ったぞ」との勝利宣言に他ならない。
というのも軍事演習を行えば、相手国は偵察機などを潜入させてこれを監視するのは軍事の常識で、中国軍だって米軍の演習を常時、監視している。無論、監視されていると気が付けば、これを追い払うのも、また軍事の常識だ。
U2は、高度2万メートルをマッハ1で飛行するから、レーダーでは捕捉できても目視確認には戦闘機がそこまで飛んで行かなければならないから結構、高度な技術を必要とする。目視しなければ米軍機かどうかも分からない。
従って「米軍機U2が侵入した」との声明には「中国には戦闘機を緊急発進させて目視確認できるだけの技術があるのだ」という自慢が含まれている。そして翌日、香港紙は「中国が南シナ海の演習区域に弾道弾2発を撃ち込んだ」と報道した。
この報道は中国軍のリークに他ならないから、事実上、中国軍の発表と見ていい。ところが米軍当局者は「撃ち込まれた弾道弾は2発ではなく4発だ」と中国軍の発表を平然と訂正したのである。
「2発か4発か?」などというのは五十歩百歩の取るに足らない問題だと思うのは軍事の素人だ。はっきり言えば、この米軍による訂正は中国軍が前日に見せた自慢の鼻をへし折るのに十分な迫力がある。
弾道弾は数百キロ以上のかなたから発射され宇宙空間に到達したのち、落下して超高速で着弾する。従ってその着弾区域だけをレーダー監視しているだけでは弾道弾は捕捉、確認できないのだ。
つまり米軍が「発射されたのは2発でなく4発」と断定するためには中国全土を監視して発射から宇宙空間そして着弾までの全プロセスを確認しなければならない。米軍はそれをした。
中国軍は米軍機を追い払ったと自慢したのもつかの間、米軍は中国全土を宇宙空間に至るまで完全に監視していることを示した。中国は南シナ海で敗北したのである。
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