何!コレ?バリトン・サックスの音??
ブッ壊れた刺激的バリトンが鳴り響く!
これが、脊髄麻痺・癌で他界直前の音!!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/b6/1d7d07316713b3ce9492870f375e0a04.jpg)
①《Blue Serge/Serge Chaloff(bs)》(56)
サージ・チャロフ(bs)、ソニー・クラーク(p)、ジョー・ジョーンズ(ds)、
ルロイ・ヴィネガー(b)。
ジャケットがイイ、バリトン・サックスが粋な女の腰高まである。
ところが、この長い楽器を半分に切り捨て、アルト・サックスのように。
1/3を切り捨てテナーのように吹き鳴らす。
アドリブの最中にやたらと、アルトにテナーに取替えるように音色を変える。
コールマン・ホーキンス(ts)の如く「ボ~~ボ~~」。
息を殺して「ホワ~~ホア~~ホワ~~」。
と、迫ってくれば「バリバリ・ブリブリ・・・」。
まるで、ジョニー・グリフィンの如く迫り倒してくる。
バリトンを壊滅・破壊する男、サージ・チャロフ。
流石に、ソプラノ・サックスの音は出せないようだが。
随所にビネガー(b)のソロが聴ける、とにかく太い・力強い。
ブ太い弦を手首と2本指で「これでもか」と、渾身の力を込めてはじく。
ベースの弦が唸り、ウッドベース本体も唸り・響く。
「ブォ~~ン・ドォオ~~ン」。
「壊滅的・刺激的・体感」を画に描いたサージ・チャロフの『ブルーサージ』。
ところが、この1枚を除いたリーダ作はどうもパッとしない。
品位と高級感のジェリー・マリガンのお隣さん的アルバムばかり。
このレコードは56年・33歳での録音。
翌年・若干34歳で脊髄麻痺・癌で死亡、病魔との闘いによる遺作といえる。
したがって、彼の作品は数枚残るだけ、残念としか言いようが無い。