みなさんこんにちは、平野です。
前回まで3回にわたり、国際子ども権利センター支援によるHCCのプロジェクト地、プレイベン州コムチャイミア郡での収入向上プログラム(家畜銀行)の進捗報告を通じて、“最”貧困層への支援についてみなさんと考えました。今回はその番外編として、天才経済学者にご登場願おうと思います。
【先進国にODA増額を要求し続ける男】
ジェフリー・サックスという人がいます。ご存知の方も多いかもしれませんが、ハーバード大でも数十年に一人の天才と言われ、20代で同大学の教授になった高名な経済学者です。そして今はミレニアム開発目標(極度の貧困及び飢餓の撲滅、普遍的初等教育の達成等、2015年までに達成すべき8つの目標)を推進するミレニアム・プロジェクトを率いる立場にいるこの50歳の男性は、先進国に対してODAの増額を求め続けており、日本に対しても「日本が貢献できることはたくさんあります。お金を出すことも職業訓練も技術協力も重要なのです」と発言しています。
【貧困撲滅にはお金がかかる】
サックス氏がその著書やさまざまな場で、下記の項目を貧困撲滅に必要なものとして挙げています。
・boosting agriculture (農業の強化)
・improving basic health (基礎保健の改善)
・investing in education (教育への投資)
・bringing power (電力の供給)
・providing clean water and sanitation (清潔な水と衛生)
これは誰しも納得できうる項目なのではないでしょうか。ただし彼は、これらの項目を挙げたのち、実在の一つの村を例にとり、それこそ数ドル単位から、必要な費用を試算していくのです。そして、一村いくらいくらかかる、国全体だといくらかかる、と算出し「さあ先進国のみなさん、お金を出しましょう」と持っていくのです。お金は、貧困撲滅の充分条件ではないが、必要条件だということですね。
【グローブとガウン】
これはなにも氏がばら撒き方の援助を推奨しているということでは、当然ながらありません。ただ、どれだけのお金があれば、どれだけのことができる、ということを端的に提示しているのだということでしょう。一方で、金銭的援助を、それこそ“忌み嫌って”いるように思えるNGOもあります。私見かも知れませんが、日本のNGOに比較的多く見られる傾向だと思います。
ボクシングは貧しい人にもチャンスのあるスポーツです。世界チャンピオンを目指す貧しい少年がいたら、サンドバックなどの器具類を送る援助よりも、科学的な練習メニューを作成するなどの援助の方が有効かもしれません。器具などなくとも2つの拳があれば練習できるのがボクシングです。
リングに上がるときも、きらびやかなガウンは要りません。しかし、それでも、グローブとトランクス、そしてリングシューズだけは必要です。いったい何がガウン(不必要な物的支援)で、何が「グローブ」(必要最低限の物的支援)なのか、持てるものが持たざるものに対してその判断を下すのはなかなかに傲慢で、かつ心苦しいものでもあります。
※写真はアナン国連事務総長にレポートを手渡すサックス氏です。
前回まで3回にわたり、国際子ども権利センター支援によるHCCのプロジェクト地、プレイベン州コムチャイミア郡での収入向上プログラム(家畜銀行)の進捗報告を通じて、“最”貧困層への支援についてみなさんと考えました。今回はその番外編として、天才経済学者にご登場願おうと思います。
【先進国にODA増額を要求し続ける男】
ジェフリー・サックスという人がいます。ご存知の方も多いかもしれませんが、ハーバード大でも数十年に一人の天才と言われ、20代で同大学の教授になった高名な経済学者です。そして今はミレニアム開発目標(極度の貧困及び飢餓の撲滅、普遍的初等教育の達成等、2015年までに達成すべき8つの目標)を推進するミレニアム・プロジェクトを率いる立場にいるこの50歳の男性は、先進国に対してODAの増額を求め続けており、日本に対しても「日本が貢献できることはたくさんあります。お金を出すことも職業訓練も技術協力も重要なのです」と発言しています。
【貧困撲滅にはお金がかかる】
サックス氏がその著書やさまざまな場で、下記の項目を貧困撲滅に必要なものとして挙げています。
・boosting agriculture (農業の強化)
・improving basic health (基礎保健の改善)
・investing in education (教育への投資)
・bringing power (電力の供給)
・providing clean water and sanitation (清潔な水と衛生)
これは誰しも納得できうる項目なのではないでしょうか。ただし彼は、これらの項目を挙げたのち、実在の一つの村を例にとり、それこそ数ドル単位から、必要な費用を試算していくのです。そして、一村いくらいくらかかる、国全体だといくらかかる、と算出し「さあ先進国のみなさん、お金を出しましょう」と持っていくのです。お金は、貧困撲滅の充分条件ではないが、必要条件だということですね。
【グローブとガウン】
これはなにも氏がばら撒き方の援助を推奨しているということでは、当然ながらありません。ただ、どれだけのお金があれば、どれだけのことができる、ということを端的に提示しているのだということでしょう。一方で、金銭的援助を、それこそ“忌み嫌って”いるように思えるNGOもあります。私見かも知れませんが、日本のNGOに比較的多く見られる傾向だと思います。
ボクシングは貧しい人にもチャンスのあるスポーツです。世界チャンピオンを目指す貧しい少年がいたら、サンドバックなどの器具類を送る援助よりも、科学的な練習メニューを作成するなどの援助の方が有効かもしれません。器具などなくとも2つの拳があれば練習できるのがボクシングです。
リングに上がるときも、きらびやかなガウンは要りません。しかし、それでも、グローブとトランクス、そしてリングシューズだけは必要です。いったい何がガウン(不必要な物的支援)で、何が「グローブ」(必要最低限の物的支援)なのか、持てるものが持たざるものに対してその判断を下すのはなかなかに傲慢で、かつ心苦しいものでもあります。
※写真はアナン国連事務総長にレポートを手渡すサックス氏です。