カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

レイプされて売られそうになったケース (1)

2007年06月06日 16時27分13秒 | カンボジアの人権状況
こんにちわ、中川かすみです。今回から連続して3回は、わたしの個人的な知り合いがレイプされて人身売買の被害にあいそうになった事件を紹介します。今回紹介する事件は、カンボジア社会の少女・女性に対する差別の問題と司法汚職問題について真剣に考えさせられた事件だったとともに、わたしにとって人権問題に真剣に取り組む大きな転機となった事件でした。

数年前に発生したこの事件の概要は、20代の若い女性が僧侶によって繰り返しレイプされた後に拉致され、タイのトラフィッカー(人身売買業者)に売られる直前で保護されたというものです。なお、以下の個人名はすべて変えてあります。

被害にあったキムは、大学卒業後に就職先が見つからなかったため、英語学校に通っていました。「大学を出てもなかなか給料のいい仕事なんてないし、将来のことはあまり考えたくないし」という、中流家庭の普通の女の子でした。毎日通っていた英語学校でキムは、若くてハンサムな僧侶と親しくなり、その僧侶が「一度お寺にお参りにこない?」と言ってキムを誘いました。実のところ、キムはそれほど宗教に関心はなかったものの、お参りだからと不信感もなく、寄進を持って寺に行きました。ところがその寺院で、キムはその僧侶が生活する個室に連れて行かれ、性的関係を強要されました。密室であったことやキム自身が「寺院で?僧侶が?」と動転してしまったこともあり、結局キムはレイプされてしまいました。

実はこの僧侶は、外見は黄色い僧侶の服をまとって剃髪していたものの、信仰心のある僧侶ではなく、裕福な家庭の問題児でした。素行があまりにも悪かったため、寺院で修行するように両親から寺に送り込まれていたのです。弁護士の調査によって後になって得られた情報では、当時すでに数人独身女性を騙してタイに売り払ったと友人に豪語していました。ちなみに、こういう風に寺院に息子を閉じ込めて教育してもらうことは、金持ちの家庭ではそれほど珍しくありません。わたしが勤務する大学でも、高価な携帯電話を手にして女の子たちと仲良く会話している僧侶を時々見かけます。

さて、「性的関係をもったことを暴露する」と僧侶から脅迫されたキムは、口実を作って両親からお小遣いをもらい、寄進物を買って寺院を何度も訪問しました。僧侶は毎回彼女をレイプしました。ところがある日、「もうこれ以上耐えられないからどんな罰でも受ける。」と僧侶に伝えたことが、キムの人生を変えることになりました。「あなたの脅迫にはもう屈さない」というキムの態度は、僧侶を怒らせてしまったのです。もう一回だけ話し合いに来てくれないかと僧侶に懇願され、「これが最後」と決心して朝家を出て寺を訪問した彼女は、そのまま帰宅することもなく、行方不明になりました。

つづく

写真は本文といっさい関係ありません。水祭りの夜、公園でモノを売る少女。

少女たちをエンパワーして性暴力から守るために
http://jicrc/pc/member/index.html


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5 コメント

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相手を思いやる気持ち (Nakakoji)
2007-06-06 20:34:40
こんにちは、中小路です。

毎回やりきれない気持ちになる内容、
これが現実のほんの一例なのかと思うと
この(1)だけでも本当に悲しくて仕方ありません。

どうして相手を思いやる優しい気持ちに
皆がなれないのだろう...
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Unknown (Nakakoji)
2007-06-08 08:23:15
こんにちは。中小路です。
度々失礼しまして恐縮です。

添付の写真、かわいいですね。。

写真をみるのが好きなのでなんとなくわかるんですが、
この子はカメラマンを喜ばせようと笑顔を作っている。
そう感じるんです。

子どもの微妙な表情やしぐさというのは
すごく正直なものだと思いました。

前回の写真でも感じたことなんですが、
他人に対してカンボジアの子ども達は礼儀をつくすよう
教育されているのか、そういう宗教を信仰しているのか
よく分からないんですが、こういう「サービス精神」
みたいなものがすごくあるのではないかと。
「徳を積みたい気持ち」というか。

でも彼女・彼らの「徳」と思っているものが
実は彼女・彼ら自身のためになっていないケース、
「親を悲しませたくないので嫌なこと(児童労働)でも
 甘んじて受け入れる」
そういう繋がりがあるのかな、と思いました。

一枚の写真から勝手な想像してしまい申し訳ないです。
気分を害されましたのなら本当にごめんなさい、、
返信する
コメントありがとうございます (kasumi)
2007-06-20 14:39:11
たくさんコメントをいただきなかがら、ぜんぜん回答できてなくってごめんなさい。わたしは亀よりひどくて一歩進んで二歩下がるような生活です。

先日知り合いが拳銃強盗にあいましたが、警察に行かずにお寺にいってお祈りしたそうです。わたしは強盗にあって警察に行ったら、調書を取られた上に手数料を取られました。なんて国だと思いましたがぐっと我慢しました。

今後も少しずつでもカンボジアの子供たちや人権の状況を伝えていきたいと思っています。

返信する
とにかく身の安全を! (Nakakoji)
2007-06-22 02:16:24
こんにちは、中小路です。
ご多忙の中ご返信ありがとうございます。

実名を掲載することには諸事情により大変悩み
躊躇しましたが思いきって掲載することにしました。

情けない事に体調を崩しPCに向かうことが多くなり、
間抜けな投稿ばかりしてますが看過してやってください。
(問題が問題だけに何か言わずにはいられなくなるんです..)

よく、
 「冬の寒さを知るものは陽の暖かさを知る」
なんていいますが、こうやって体調を崩したお陰で、
私たちが日常当たり前のように感じてることが、
実はつらい経験を経てきた人にはありがたく
感謝すべきものになる。
真っ白なココロを持てた、
そういうことを実感してる今日この頃です。

そんなこんなでこちらは後ろ向きに爆走していますので、
2歩後退してても「1歩進んでいる」という実感がある
香須美さんがうらやましいです。

で、やっと本題ですが、
「強盗にあった」とのこと、
なんていったらいいんでしょう、
心配はとても心配なのですが、信頼してますしね。
何よりケガがなくて(?)本当に良かったです。

現状カンボジアではクメール・ルージュ期の
おぞましい文化破壊(文化人大虐殺)やその後の
内戦の名残が生々しく残っているそうで、
当時の銃器が未だに民間人に残っており
それらの銃器を使った犯罪が特に都心で増加
しているそうです。
9年滞在の香須美さんに言うのもおこがましいですが
充分注意してくださいね。

とにかくカンボジアにおいて
司法・立法・行政と三権分立が形式的にではなく
実質的にも成立して、相互に牽連関係・相互抑制して
いける社会・正しいものが正しいと主張できる社会
となることを私も心から願っています。

今後もプライバシーや安全に配慮しつつ、
ココロあるホットな話題の投稿を期待しています。

まぁ、無理せず気張りすぎず、ぼちぼち行きましょ!
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こちらこそ、お忙しいのにすみません (Nakakoji)
2007-06-23 21:33:29
こんにちは、中小路です。
ご多忙の折ご返信ありがとうございます。
(:メモ帳で書いて貼付けてるんですが
  もしかしたら2重投稿しているかもしれません。
 その場合は先の投稿はすみませんが破棄して下さい)

諸事情により実名を掲載することには大変悩み躊躇しましたが
思いきって掲載することにしました。
申し訳ないです。

情けない事に最近体調を崩しパソコンに向かうことが多くなり、
こんな間抜けな投稿ばかりしてますが見過ごしてやってください。
(問題が問題だけに何か言わずにはいられなくなるんです..))

「冬の寒さを知るものは陽の暖かさを知る」といいますが、
こうやって体調を崩したお陰で、
私たちが日常当たり前のように感じてることが
実はつらい経験を経てきた人にはありがたく感謝すべきものになる。
真っ白なココロを持てた、そういうことを実感してる今日この頃です。

そんなこんなで亀が後ろ向きに爆走していますので
2歩後退してでも「1歩進んでいる」という実感がある
香須美さんがある意味うらやましいです。。
(思うようにいかずとても辛くもどかしいこと、
もちろん痛いくらい理解できます)


「拳銃強盗にあった」とのこと、
日本でもし同じことがあればマスコミも含め大騒ぎする
ような事件でしょうが、警察にそのような応対をされるとは・・・

「何のためにあんた達がいるねん!」って
治安を維持する義務のある警察に対して腹が立ちます。

また、それほど日常茶飯的な事件なのか、と改めて驚きます。
(ポル・ポト時代の銃器が民間人に残っていて
それを使った強盗がプノンペンでも多発しているということ、
 知識として知ってはいましたが・・ショックです)

でも何よりケガがなくて本当に本当に良かったです。


とにかくカンボジアにおいても
司法・立法・行政と三権分立が形式的にではなく
実質的にも成立して、牽連緊張関係を持ち相互抑制
していくような社会となることを私も願っていますし、
そうなるためにはどうしたらよいか
香須美さんがおっしゃっておられる通り、
個人レベルから国家レベルまで各々のレベルにおいて、
考えるだけでなく「行動」を起こさなければいけない、
そう思いました。
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