長崎を舞台にした青春小説です。
数カ月後に地球は滅ぶ!?
そんな設定の世界のもと、繰り広げられる青春が長崎にある。
5篇の物語が溶け合った時、あなたは何を思うだろうか。
人類最後の夏をどう過ごすだろうか。
そして、本作品のメインヒロイン小林凛映はなぜ映画を撮るのだろうか。
ライトノベルなのですが、各話のタイトル以外に挿絵なしという、なんでライトノベルレーベルで出したん?と思うくらい、中身はガチ目です。
読む文章から想像力を働かせながら読む楽しさを味わうことができます。
1〜4話でいろいろな青春を描きつつも、しっかりと設定されている世界が徐々に読者に浮き彫りになっていく感じも面白かったですが
「世界が滅びるかもしれない状況であなたはどうするだろうか?」
という問いがあり、その問いに対しての1つの答えが見えたような作品だなと思いました。
以前読んだ『ノストラダムスエイジ』で、そういえば、ノストラダムスの予言で2,000年に世界は滅ぶと言われていた時のことを思い出しましたが、その当時、1999年に高校1年生だった私は同じようなことを思っていたわけです。
中学の時は2000年に世界が滅ぶかもしれないのに真面目に勉強してどうなる?とか、高校1年生の時に来年、滅ぶかもしれない世界で受験勉強をする意味があるのか?とか。
でも、こういうの、大体、サボりたい時とか、やる気がないとか、何か限界を感じた時や諦めた時などあまり良くない感情の時に起こりやすいもの。
そういうところも押さえられていて、どうせ世界は滅ぶしっていう時の感情、よく分かるわぁとなりました。
一方で、仮に明日世界が滅ぶとわかっていても、私は、普段と同じことをするんだろうなぁと思います。
普通に仕事に行って、普通にご飯を食べてと。
もちろんお世話になった人にお礼の電話したり、大切な人と一緒に過ごしたり、普段よりも美味しいものを食べるとかはするかもしれないし、諦められずに生き延びる方法を探すかもしれません。
恐怖はもちろんあるでしょうけど、きっと滅ぶその時まで今を生きるんじゃないかと思います。
もしかすると世界は滅びないかもしれないと思いながら。
結局、私はもちろん未来のために生きているのは否定しませんが、今を生きているんだなと思いました。
明日はどうなるかどころか1秒先すらどうなっているかわかりません。
もしかしたらこの感想を書いている途中に地震で日本は滅ぶかもしれない。
でも、私はこの瞬間、いつも通り一生懸命、本の感想を書いている。
事実としてはいずれ人類は滅ぶだろうし地球も滅ぶ。
いつかはね。
でも、今は確実に滅んでいないし、今が全てなんだろうなと思った作品です。
そんな気持ちを抱きつつ、読後は
「どうせ、2023年の大晦日は終わる」
と良い意味でつぶやいた作品でした。
※ブクログに掲載した感想を転載しております。
2023年読んだ最後の1冊となった本。
もし数か月後に世界が滅びるとしたら?
実際に滅ぶかもしれないという噂だけがあった1999年。
結局滅びなかったですが、滅びるとしてどうしようかを考えたことがあるだけに私にとってはなかなか感慨深いものがあった作品です。
結局今が大切なんだよなぁとしみじみ感じた作品です。
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