音楽ディレクターのヒロイン渋谷と作詞家の猫宮があるきっかけから出会い、音楽に関する不思議なミステリーを解き明かす作品です。
たとえば、ある大学教授が小学生の頃にほぼ誰にも知られずに作詞、作曲した曲と全く同じ曲を音楽家が作品として発表した。その真相とは?
毎日京都のストリートで歌っている女性の曲が素晴らしいけど、絶対に同じ曲を歌うことはない。なぜ?
などなど、音楽にまつわるミステリーが展開されます。
音楽業界の裏側が舞台になっていて、音楽や作品が出てくるまでの裏話的な話が多く、音楽業界ってこういう風になっているだと思える作品です。
この辺りは、流石、作者がアイドルプロデュースをやっていたり、作詞をやっているだけあって、詳しいなと思いました。
ただ、難点は読んでいて何がというわけではないのですが、個人的には頭の中で想像することができずに読むのに手こずったなと思いました。
本作から感じたのは、音楽を世に出す大変さであったり、出す方々の想いって相当なものなんだろうなと思いました。
音楽を世に出すからにはヒットさせたいし、当然良い音楽を世に出したい。
関係者の方々は誰でもそう思っているはず。
しかし、私の好きな音楽やアーティストが必ず他の人にも受け入れられるかというと、そういうこともないし、なんでこの曲が流行ってるの?えっ?踊るとバズるから?とかもザラです。
私が流行歌をよく聞いていたころは、自由に音楽を聴きたいなと思ったら、CDを買わないといけないという時代でしたが、今はデータさえあれば聴けるという時代ですし、曲の聞き方だって大分変っていると聞きます。
いつの時代でもそうなのかもしれませんが、音楽などの芸術で食べていくのは大変だなと感じました。
そして、作詞家や作曲家など、世間に名前が出てくる人以外にも名前が出てこないたくさんの人々が役割を担って1曲に携わっているということがわかりました。
必要なのは才能といってしまえばそれまでなのかもしれませんが、演奏技術が高ければ好きな音になるとも限らないし、立派な歌詞を書いても伝わらなければ意味がない、歌うことが上手すぎても下手なアイドルが一生懸命歌う方が伝わるということもある。
私たちの耳って不思議だなぁと思いながら、今日も街中であるいは家の中で聞きたい音楽かどうか別として耳に流れてくる音楽を聴きたいと思います。
まさに、音楽は自然と流れてくる。私が生きている以上は必ず。それを好きな音楽かどうかは別として。
※ブクログに掲載した感想を転載しております。
音楽が世に出るまでの過程には思った以上のたくさんの人々が関わっていることを知れる作品。
世の中に音楽が出るだけでも大変なのに、有名にあるいは売るのにみんな必死なんだろうなと思う今日この頃です。