家族を放火で失った主人公の15歳の少年。
放火犯は少年法に守られ、捜査すらまともにしてもらえなかった。
復讐に燃える少年が選んだ復讐方法は、無差別爆弾テロ?
どうして少年は爆弾テロを行おうとしているのか。
少年法を軸に描かれる被害者家族と加害者家族。
悪いのは法なのか、罪を犯した少年少女なのか、それ以外なのか。
本作品を読み終えた時、あなたに芽生える感情とは?
読んでいてただただ引き込まれた本作品。
『ただ、それだけで良かったんです』で電撃文庫大賞を受賞した当時に読んだ作者の作風はそのままに、考えさせられるし、引き込まれるしで、続きを読み勧めたくて仕方なくなりました。
本作品で描かれているのは、ズバリ被害者家族と加害者家族なのですが、彼ら彼女らはどうやったら救われるのだろうかという問いが第1にあります。
被害者家族は、奪われた家族の命の代償に加害者自身の命が差し出されれば救われるのか?
加害者家族は、自分の家族が犯した罪を非難され続けて村八分みたいな生き方をすればよいのか?
結論は、救われることは一生ないということなんだろうなと思いながら読んでいました。
そして、第2に、被害者家族はかわいそう、加害者家族には制裁をと無責任に思う、私達に向けられている作品だろうなと思いました。
私もそうですが、何らかの事件が報道されたら、被害者はかわいそう、加害者には厳罰をと思いがただなと思います。
その想いを下に過激な行動にうつることもあります。
たとえば、加害者家族に誹謗中傷したり、犯人の実家を特定したり。
まるで被害者家族がそれを望んでいるからといわんばかりに、あるいは自分の小さな正義感を満たすために。
でも、実は私達が振りかざしているその正義はなんのために振りかざしているのか。
本作品でいえば、少年法を改正するためなのか?被害者を代弁しているのか?
それとも実はただの自己満足なのではないのか。
本作品を読み進めると湧いてくる自分自身の感情や気付きと向きあったそんな作品でした。
※ブクログに掲載した感想を転載しております。
犯罪被害者や犯罪者家族が救われることがあるのか…
難しい問題もはらみつつ、テロリストとなった犯罪被害者家族である主人公、加害者家族として暮らしているヒロイン、そしてそれ以外の第三者。
考えさせられることが多いのは確かですが、今思い出しても思います、面白かったと。
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