自燈明・法燈明の考察

お金の事について考えてみた①

 昨日と今日は比較的穏やかな陽気で、のんびりと過ごしています。世間では総選挙もあるので政治の話題が多くありますが、何やら日本社会が迷走している状況を体現している感じの選挙だと、私は感じています。

 多くの政党が「ばら撒き」を公約に掲げていますが、正直、昨年から続く新型コロナ過の一連の政府の動きで見えたのは、国が緊急事態に遭遇しても、政府やそれに関与する政治家、また官僚たちが適切に対処が出来ないという姿でした。

 昨今では中国やロシアの艦隊が九州沖を通過したり、津軽海峡を通過したり、台湾では中国軍機が威圧的な行動を繰り返しています。その影響もあってでしょうか、南西諸島方面での航空自衛隊のスクランブル発進数が激増しているという事も聞いています。
 この先もし日本が有事に巻き込まれた時、果たして今の政府はどの様な対応ができるのでしょうか。
 そんな事を考えたりすると、やはり国の在り方について議論されても良いタイミングではないかと思うのですが、正直、今の日本人社会ではそういう議論には耐えられないのは百も承知しています。また新型コロナにより疲弊した日本社会には、何はともあれ、ばら撒きであっても経済的に活性化させなければならないという理屈も充分理解できます。

 要は日本の社会は今の国際情勢に対して、既に対処出来ないと言う現実が、そこに有るのかもしれません。

 悩ましい限りです。

 さて、今日のお題ですが、そんな政治の話題ではありません。今回から少し「お金」という事について考えてみたいと思います。



 今の人類社会では「お金」を持っていないと、生きて行く事が出来ません。家に住むにも家賃を支払わなければいけないし、電気やガス、上下水道を利用するにも料金を支払わなければ利用する事が出来ませんし、食事を取るにも食費を支払わなければなりません。

 そしてこの「お金」というのは、仕事をしないと基本的には得られません。まあ一部生活が困窮した人には「生活保護」という事で支給される場合がありますが、基本的には仕事をしないと得られません。

 要は普通の人達にとって、お金とは「労働の対価」に対して支払われる事になっているのです。これも社会の常識です。

 だたこの社会で得られる「お金」の額も、仕事の内容や立場などによって様々な格差があります。この金額は仕事のキツさとか責任とは、ある程度連動しているかもしれませんが、完全に連動しているものでも無いのです。
 身を粉にして必死に働いても、生活に足りる収入が得られない人もいれば、あまり苦労せずとも、それこそ「濡れ手に粟」の様に高収入を得ている人も居たりします。

 そんな事もあってか、今の社会には「貧困格差」というのが存在します。富める人達はより富んで行き、貧する人達はより貧する人が居たりします。また近年ではこの貧困格差が社会の中で、固着化しはじめているケースも多くなってきています。
 簡単に言えば、富裕層にいる家族の子供たちは、質の良い教育や住環境を得られ富裕層となり、貧困家庭の子供たちの中には、十分な生活環境も無ければ教育を受ける機会すら得られず、その貧困生活から中々抜け出せない状況も起きているのです。

 このお金の多寡は、そのお金を持つ人の社会の中で生きて行く「自由度」に直結していきます。お金が潤沢にあれば望むものを手に入れ、自由度の高い生活をする事が出来ます。一方でお金が無ければどうしても諦めなければならない事も多く出てきます。
 だから人々はより多くのお金を求め、その結果、人生を振り回されてしまう人も出てきます。

「御世の追いはぎは、これ一つ(貨幣)の為に人を殺す」

 これはあるアニメの中にあったセリフですが、ここには「お金」の為に人は、何でもするという人の性を顕しています。

 仏教では「他化自在天」という神がいます。これは「第六天魔王」と言われ、人々を煩悩に縛り付け、この娑婆世界の中に囲い込んでいる大魔王と言われています。私がこの「お金」にこの「他化自在天」の姿を感じているのも、こういう「お金」に対する人の特性を見ていて感じている事なのです。

 お金は私達が日常的に扱っているモノであり仕組みなのですが、考えてみれば私達は「お金」についてあまりにも理解していない事が多いと思います。そこでまずは「お金」について、少し考えてみる必要があると最近思いましたので、ここから何回かに分けてこの事を個人的に掘り下げてみたいと思います。

 お時間のある方は、少しお付きあい頂ければ幸いです。
 よろしくお願いします。


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