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JOYJOBメンバー他では言わない自身の秘密?!を毎日更新

見つめていた背中 第1話

2007-08-09 11:22:01 | 旧メンバーブログ
今週から、8週間にわたり、小説も載せていきます。
以前にメールマガジンで配信していたものです。

父と息子のやりとりを中心に書いたものです。
読んだことのない人も読んだことのある人も
何かを感じてもらえれば、幸いです。
少々読みづらいですけど・・・

見つめていた背中 第1話

「てっちゃんへ

 ほんとは悪いことだとわかってたんだ。
あの時翔ちゃんが使うの止めるべきだった、
でも僕の中の弱虫に負けちゃった。お金を使った日も、
見つかった日も心の中がモヤモヤしてた。
見つかった日しかられると思ったけど、
しおりん怒らなかった。てっちゃんにも怒られなかったけど、
でもちょっぴり寂しかったな。気づいてほしかったんだよね、
いつもと違うところに。でも言わなきゃわかんないよね・・・」



「大地、プレゼント何がほしい?」
「僕、このハイパーヨーヨーかポケモンのボードゲームが欲しい」
店内はクリスマスプレゼント選びの親子で賑わっている。
外は雪がちらつく冬景色が広がる。
今日はクリスマスの前で、どこのおもちゃ屋も人であふれている。
「あのさぁ、うちにはサンタさん来ないの?
あと、それにプレゼントっていつもなんで1週間前とかなの?」
不思議そうな顔で大地が見上げる。
けろっと笑った顔で母親の詩織が言う。
「大地にはプレゼント早いほうがいいかなって。
一足先にみんなに自慢出来るかなと思ってさ。
大地がもっと小さかった頃のクリスマスにね、
てっちゃんがサンタの格好をしていたんだよ。
そしたら大地がてっちゃんいない、
どこいったのって大騒ぎになってね。
それからは普段のままの3人で飾りつけしてクリスマスを過ごすことになったの。
大地は腕組みしながら、詩織の周りを3周すると、わかったという風な顔をして
「ちょっとくらい夢見させてよ、まぁプレゼントもらえるからいいや。」
小さい頃から、大地のプレゼントを買うのは詩織だった。
父親の哲はこれといって大地にモノを買ってやることはない。
とはいっても生活費は仕事で稼いだ哲のお金なのだが。

「早く、てっちゃん帰ってこないかな。」
クリスマスのケーキを前に大地が待ちきれず、愚痴をこぼしている。
「大地、もう少ししたら、お父さん帰ってくるから。
ほらクリスマスツリーの飾りつけしてよ。
暗くしてツリーだけ電気つけて待ってようか?お父さんびっくりするかも。」
結局クリスマスイブの日、哲は仕事の残業で帰りが遅くなった。自宅についた頃、大地はもう布団に入って寝ていた。
ネクタイをはずしながら、やってしまったという顔で
「ごめん、どうしても急な仕事が入って。大地どうだった?」
「ううん、気にしないで。大地と2人でケーキ食べたから。
その後ヨーヨーで遊んでた。
明日の朝てっちゃんとケーキ食べるんだって、
満腹になって疲れて寝ちゃった。サンタのお菓子残っているよ。」
「そうか、悪いことしたな。」
ここぞって時に父の哲は仕事が入ったりして、うまくいかない。
子供にとって親の必要さを感じるとき、
記念日や何か事件があった時だったりする。
でも親の目から見れば気づきにくいことなのかもしれない。


放課後の時間、公園には学校帰りの子供たちの声が飛び交う。
公園には近所の子供がいっぱい集まって、わいわい遊んでいる。
ブランコに、ジャングルジム、いつまでたっても子供たちの心を離すことはない。
「おーい、みんなで今日もケイドロやろうぜ!!」
「じゃあ、チーム決めなきゃね。ジャンケンで勝ったほうが泥棒な」
みんなが輪になって集まっていた。
中には一旦家に帰らずランドセルを背負ったままのやつも入る。
「じゃんけん、ぽん、決まんないな。」
「あいこでしょ、よし決まり。」
「隆志、大地、祐太、翔、健次郎は先に泥棒な。」
「光平、水島、清水、伊達、江川は警察だからな。」
大地が今にも泥棒気分になって、警察チームに声をかけた。
「60秒、いや90秒数えたら、捕まえに来いよ。よーい、どん。」
いっせいに泥棒チーム5人が駆け出した。
警察チームは円になって作戦を練っているようだ。
泥棒チームは2人、3人と分かれ、
次第に小さくなって曲がり角を横切ると見えなくなった。
「祐太、今日はどこにする?」
いつも決まって祐太にくっつく大地が尋ねた。
「決まってんだろ、アパートの4階。見つかったらヤバイけど、
俺あそこの窓から見える景色が好きなんだよ。」
「今日はあんまり顔出さないようにしようね。」
2人はじっと息を潜めて、アパートの4階の階段の踊り場に座った。
下からは足音が聞こえてきた。
タンタン・・・タンタン・・
「おい、あいつらカン良すぎない?」
黙って大地がうなづく。
タンタン・・ガチャ、キー・・
「ふ~、アパートの住人かよ」
2人はそっと胸をなでおろした。急に外からは声が聞こえ始める。
「なんか聞こえない、外で誰かが何か言ってるみたいだよ。」
そっと耳をすませてみる大地と祐太。
「お・・・・~い、・・・・・・誰かきて。」
踊り場には声が良く届かない。2人はそっと窓をのぞいた。
あんなに大きく見えていた建物も車も、
4階からの高さはすべてが小さく見える。
小さく輪になっている集団を見つけた。
光平、水島、清水、伊達、江川の警察5人のほかに、
泥棒の翔や健次郎もいるみたいだ。
なんだか、みんな輪になって1点を見つめている。
2人は顔を見合わせてケイドロはおしまいみたいだ、と感じて、
「何したんだよ。」
大きな声を響かせた。4階もの高さからの声はどこまで飛んでいった。
そして彼らの耳にも同じくして届いた。
「そんなとこにいたのかよ、いいから、早くこっちこいよ。」
みんな、手招きをしている。水島はジャンプして、一大事といった表情だ。
2人は急いで階段を降りはじめた。何があったんだぁ、
期待と不安で体が膨らむ。みんなが集まっている場所に駆けつけると、
伊達がひっそりと口にした。
「これ、拾ったんだけど、どうしたらいい?」

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