空中楼閣―Talking Dream―

好きなものを徒然なるままに。

劇団☆新感線「髑髏城の七人 Season月 上弦の月」ライブビューイング

2018-01-23 21:38:27 | ゲキシネ、舞台中継
今年の観劇初め、の前にライビュ行ってきました。

…最初に愚痴っていいですか?
1.2日連続で行くのは無理です! 中継の都合はわかるけど、もうちょっと離してほしかった…
(要約:「下弦の月」も見たかった)
2.よりにもよって映画館で「最前列・センター」なんて座席を引きたくはなかった!(笑)
公演の問題じゃなくて映画館の問題だと思いますが、首と腰と、何より目をやられました…
(一生懸命見過ぎたのかも知れない。)
(とりあえずその点だけでも2日連続は無理だったな~体力的に。)


ともあれ、「花鳥風月」のラストシーズン。
(「極」の『修羅天魔』は全然違うストーリーになりそうですし)
ここまで4シーズンの集大成、って感じの内容だったと思います。
新設定も含めていろいろ整理された感じ。

全体の感想その1としては。
…薄味、かなあ。
綺麗にまとまってはいるんだけど、こっちのハードルも上がってるから。(辛口)
まあ生とライビュでは、伝わってくる熱量が違うとは思うのですよ。
あくまでも(見づらい)映画館で見た感想。
全体的にスッキリ爽やか。青春物語。

……の中での、早乙女太一@天魔王の存在感よ。

オープニングで、「このオープニングのためだけに遠征すべきだったかもしれない」と本気で思いました。
(ここまでミュージカル仕立てとは知らなかったわ)
キャストの「圧」と、物語上の扱い。
そう、今回は、紛れもなく天魔王の物語だった。
天魔王の誕生に始まって、天魔王の死で終わる。
圧倒的なヒロイン←
(今回は沙霧がいなくてヒロイン不在気味だからよけいに!
極楽太夫もヒロインじゃなかったし)

今回の「髑髏城」は、語りたいこといっぱいあるんだけど、
一言しか言えないなら、早乙女天魔王最高すぎかよ。です。
はい。全部そこに帰結します。


1.信長ユーゲントの3人~天魔王ヒロイン説~

今回の、捨之介・蘭兵衛・天魔王って、あえてビジュアルかぶせてますよね?
若いイケメン枠、ってだけじゃなく、髪型とか衣装とかも。
今までで一番「トリオ」感が強くて、3人の共通点と違いがより明確になった感じ。

一番わかりやすいのは、蘭兵衛。信長様とは相思相愛。信長の最愛の男。

屈折してるのは、天魔王。これは鳥髑髏の感想で森山天魔王について思ったことを、
今回の早乙女天魔王がだいたいセリフで言ってくれたんだけど、
信長を手に入れることができなかったからこそ、「自分の求める真の信長」に自ら成ろうとした、
哀しい青年。

で、新鮮だったのが捨之介で。
天魔王と普通に仲良さそう、ってか、少なくとも捨之介にとっては「<人(ジン)>の男」も蘭丸も、
大事な仲間だったんだろうなあ、っていうのが伝わってくる感じで。
でも小姓として信長の本当に近くにいた2人と、
忍びとして距離を置いていた「<地>の男」とでは微妙に見ていたものが違って、
だからこそ、「天魔の御霊」に取り憑かれた2人を何とか救い出そうとして足掻いている、
そんな物語に見えました。

「殺すんじゃない、止めに行くんだ」

天魔王を愛している捨之介って、凄くないですか?
(あ、腐った意味じゃないです。腐っててもいいけど)
沙霧が「霧丸」に変更されたことで、捨之介の博愛主義者っぷりに拍車がかかってるけど、
ヒーロー(捨之介)の愛情が一番向いている対象だから、この物語のヒロインは天魔王だと思うの(真顔)

今回の早乙女天魔王が、「鳥髑髏」の森山天魔王の延長線上の哀しさを抱えながら、
それでもあの最期に救いを感じるのは、福士蒼汰@捨之介の愛の力によるものだと思うのです。

捨之介は天魔王と蘭兵衛を救うために奔走するんだけど、
本能寺に立ち会ったか否かでやっぱり2人とは見ていたものが違って、
だからこそ物理的には彼らを救うことができない(死なれてしまった)。
その最期を見てしまったが故に、捨之介自身が死の誘惑に引きずり込まれてしまって、
新セリフの「最後の最後に、俺まで天の殿様に食い殺されるところだった」に繋がるわけですね。

今回の斬鎧剣の演出、とっても好きです。痺れた。
(そしてあのオープニングが伏線になっていたとは!)

今回の捨之介のテーマは「天が降らせた涙雨を余さず受け止める大地」ですが、
私はどうしてもこのテーマに「地母」とか「グレートマザー」という言葉を連想してしまう。
そこから考えると、今回の極楽太夫も生駒も「母性」強調キャラだったよなということに気付く。
(生駒に甘える天魔王がめちゃくちゃ萌えでした)
蘭兵衛も天魔王も、無意識のうちに、自分の飢餓感を包み込んでくれる人を求めていたのかな。
だから8年間もやっていけたんだろうけど、それは彼らの「真に欲していたもの」ではなかった、
のが悲劇なんだろうな。


ところで今回の天魔王×蘭兵衛のキスシーンが凄く色気あったのは、
早乙女氏はあのビジュアルのくせに被虐がイマイチで、攻に回ったほうがいいってことですかね(暴言)


この3人のキャスト感想。

福士蒼汰@天魔王。(『修羅天魔』に福士誠治氏が出るので、「蒼汰君」呼びさせてもらいます)
正直、画面で見る感じだと、足りてないところがまだまだあるのですが、
ラストまで見て、彼で良かった、と感じた。
イケメンなのとタッパがあるのは文句なし。
百人斬り、「鳥」と「風」があんまりがっつりの殺陣じゃなかったので、
やってくれただけでも御の字なんだけど、ちょっと食い足りない。
いや、難しいのはわかってます。頑張ってたし。
(古田新太(×梶原善)とか、(市川染五郎×)三宅弘城とかは別格として、
「ワカドクロ」であの速度でやりきった小栗旬×勝地涼は凄かったんやなと改めて思いました。)

彼の笑顔が「ヒーロー」としての何よりの説得材料なので、
物語が腑に落ちました。舞台出演初めてなのよね? 今後が楽しみです。


三浦翔平@蘭兵衛。
最初に。蘭兵衛の髪型は、顔の輪郭を丸く見せてしまうんだろうか?
実は山本耕史も、向井理でさえも気になったので、三浦君の責任ではないと思う。
(改めて、早乙女太一がおかしいんだと思う)
アクションのスピード感があるのが良いです。
彼も一幕は「薄いな~」と思ってたんだけど、
二幕の闇堕ち後が壮絶に美しく、しかも狂い方がやべぇ奴すぎた(ほめてます)。
クレイジーさがこっちの想像を超えていて、何が怖いって、
殺人鬼「人斬り蘭丸」(@『アカドクロ』)こそが彼の本質に見えたところ。
あと、上にも書きましたが、被虐の色気がなかなかありました。


で、早乙女太一@天魔王。
ていうかさー、信長が最期に、蘭丸を逃がして<人(ジン)>を残したのは、
蘭丸を愛してたから、というより、<人>を誰にも渡したくないぐらい執着してたからでは?
と思ってしまうぐらい、美しかった。
基本的に彼は自己陶酔して自己完結してしまっていて、
そこに生駒も蘭兵衛も捨之介も入り込む余地はないのだけれど。
中高生時代にはまった、ロシエル様(『天使禁猟区』)とか、Drジザベル(伯爵カインシリーズ)とか、
李月龍(『BANANA FISH』)とか、そういう路線の「美形悪役」ですよ。
ビジュアルも所作も、すべてが美しい。
これ生で観てたら、天魔王だけオペラでガン見してたこと請け合い。


2.「母」なる女たち

今回、沙霧がいないので、メインの女性キャラは高田聖子@極楽太夫と山本カナコ@生駒。
…や、この2人を並列して語るつもりは当初無かったのですが、
「母性」というキーワードを意識しちゃったもので。

生駒は、天魔王の全てを受け止めている。
全面的に甘えさせて、受け止めて、最後は殺意さえも飲み込んで、自ら死を選ぶ。
狂ってしまっている天魔王だけれど、彼が8年間、意志を貫くことができたのは、
彼女がいたからなのだと思う。

この、天魔王-生駒の関係と、蘭兵衛-極楽の関係が、対になっているように感じた。

いや、聖子ねえさまの安定感凄いし、極楽は「さすが本役!」ってな素晴らしさなのですが。
今回の極楽は、ヒロインじゃないし、蘭兵衛との間にあったのも、恋愛じゃないと思う。
(「愛」ではある。)
極楽は、全てを失った蘭丸を全面的に肯定して、「蘭兵衛」という新しい生を与えた張本人なのだと思う。
だから蘭兵衛が闇堕ち後に無界を滅ぼすのは、
「生まれ直し」に必要だったのだと思うよ。その設定消えたけどさ。

いや、三浦蘭兵衛の狂いっぷりがガチでやばかったので、
「この殺人鬼を8年間、真人間として御していた極楽さんの包容力すごすぎだろ」と
思ってしまった次第で。
蘭兵衛とも兵庫とも年の差あるけど、「太夫」であることに何の疑いも抱かせない
聖子さんさすがっす。
(全体的に薄いので、聖子ねえさまの存在感で立体的にしてる節がある。)
歌も良かった~


3.少年たち

須賀健太くんを最初にテレビで見たのって、彼が何歳の時でしょうね?
もちろん『鉈切り丸』で既に、「カッコいい青年になったなあ…」と思っていたんですが、
今回の須賀くん@兵庫は、紛れもなく少年でした。それもワンコ系。
そしてその、少年・兵庫がとっても良かった~!
あんな告白されたら、おばさん泣いちゃいますよ。
一家に一人欲しい感じ。

ただちょっと気になったのが、須賀くんの少年性と、新キャラ「霧丸」の物語上の立ち位置が、
やや混乱を招いている気がする……

平間壮一@霧丸は、『ロミジュリ』のマーキューシオで初めて認識した役者さんですが、
小柄な外見に反して、演技もキャラクタも骨太なのよね。
そこが魅力ではあるんだけど、今回の霧丸は、もっととことん子どものほうが、
わかりやすかったと思う。(「七人」の中ではキャラがかぶらないほうがいいと思うのね)
彼自身は「上手いな~」「アクション動けるな~」と思って見てました。
あ、沙霧が霧丸に変更になったことで、天魔王にボコられるシーンのえげつなさがちょっとマイルドに
なった気がします。未來くんのとか、DV感すごかったから…


4.個性的な人々

市川しんぺー@贋鉄斎は、やっぱり薄味。
っていうか、古田新太→池田成志→橋本じゅんと見て、
あの程度の変態では満足できないカラダにされてしまったのが悔しい(笑)
アドリブ全開で、勿論楽しませていただきましたが。

渡辺いっけい@二郎衛門はさすがの上手さ。今回はどの狸穴さんも好き。

村木仁@じん平は、遂に兵庫の「兄さ」から「おっとう」になってしまったのか…
鎌→鍬のバージョンアップと「農具は友達」に死ぬほど笑った。

そして大好きな粟根まこと@渡京。
今回は算盤のコロ助君がいませんでしたが、兵庫よりだいぶ年上、なのを上手く生かしてましたね。


5.終わりに

今回実感したのは、私は天魔王の
「かくして、因果因縁 奇しき縁がこの関東の地に集ったというわけだ」のセリフが
大好きだということです。
全ての「因果」が収斂していくストーリーが実に気持ち良い。

3月に見に行く『修羅天魔』を楽しみにしつつ、『髑髏城』4シーズンズ、堪能しました!
(DVDボックスとか買ってしまいそうな自分がいる…)

コメントを投稿