空中楼閣―Talking Dream―

好きなものを徒然なるままに。

ガストン・ルルー『オペラ座の怪人』(創元推理文庫)

2008-01-28 16:06:15 | 読書
コピット/イェストン版の舞台を見て、
「で、原作ってどうなんだろう?」と気になったので読んでみました。

へえ。ルルーって、『黄色い部屋の秘密』の作者なんだ(無知)。
小学校の時に(多分子ども向け)読んで、でもあまり乗れなくて
飛ばして最後だけ読んで(最悪)オチに憤慨した記憶がある。


読み始めて、まず第一の衝撃は、
フィリップが41歳
ってことでしょうかね。

…なんでコピット版はクリスティーヌの相手役を
ラウルじゃなくフィリップにしたんだろう…?
(ちなみにラウルは21歳。親子ほど年の離れた兄弟。)
根暗のラウルと軽薄なフィリップというキャラの違いを使いたかったんだろうけど。


あと、ソレリがバレリーナってのもちょっと衝撃でしたね。
なにせ宝塚版で演じたのが彩乃かなみさんに華城季帆さんだから、
オペラ座の団員でも歌担当だと思ってました。

マダム・ジリーが客席の案内係だというのは予備知識があったから驚かなかったけど。

あ、ラウルとクリスが身分違いで結婚できないというのも結構ショックでした。
あんまり意識せずに見てたからなあ、その辺。

「あなたの顔を見ても大丈夫よ、ほら」と言いながら
目を瞑っているクリスティーヌにもショックを受けた。
いや、やっぱり性格悪いよ、この女(笑)

ストーリーは、基本的にはロイドウェーバー版と同じなんですが
(つまりコピット版が改変しすぎ。)
群像劇というか、視点が結構ころころ変わって、
この話の主役は「オペラ座」だったのか!と、軽く衝撃を受けました。

「幽霊」を巡るオカルト的な部分や、
いかにしてファントムはそれを行ったのか?というトリックの部分にも
随分筆が割かれていて、正直、そこはあんまり面白いと思わなかったのですが、

エリックの魂が救済されるクライマックスはかなり感動的で
思わず涙しました。

なるほど、コピット版は、とにかくここのカタルシスに重点を置いて、
このシーンのために他の部分を創作したのか、と納得したぐらいに。

この作品を映像化もしくは戯曲化しようとすると、確かに再構成が必要で、
クリスティーヌを巡る三角関係に重点を置きながら、
芸術家の苦悩と孤独をテーマにしたロイドウェーバー版も、
エリックの魂の救済に至る人間の物語を創ったコピット/イェストン版も、
どちらも意図が見えて面白かったです。

やっぱりこの話は、
怪奇ミステリの部分よりも甘いロマンのほうに重点を置いてほしいよ。
と思ったのは、私がミュージカルから入ったからか。

ミュージカルには出てこない、ペルシア人のダロガが個人的に好きですが、
確かに彼を登場させるとテーマが描きにくいだろうなと思います。
どこかに、ダロガが狂言回しになってる作品もあると聞いたのですが、
それもちょっと見てみたいかな。

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