もう東大話法にはだまされない(安富歩著 講談社+α新書2012年)④ここを付けくわえてほしい。
この本はもう十年以上前に書かれている。その後日銀総裁の記者会見発表というのが何度もあった。日本中が固唾を飲んでこの放送を見たがその様子は、まるでお殿様がこう決めたから左様こころえよという時代劇そのものであった。他の人もそうだと思うけどだんだん聞く気がしなくなって音を消して総裁の表情をひたすら見るようになった。頬がぴくぴくしていないかとそこを注視するのである。テレビ局も心得たものでどの角度からが一番わかりやすいかを考えて総裁の顔を大写しする。これは東大話法の亜種というべき新お奉行様話法であろう。
台風の予測はかなり正確に風速や降雨量を言って対策まで指示する。日銀の発表もそのあとで予報官という人が出てきてこういう仕事をしている人にはこういう影響があります、対策はこうですその影響は何時まであるかをきめ細かに予報するべきだろう。この新お奉行様話法の話も入れてほしい。
立場主義も関守の話も日本で財団や巨大な企業の管理部門で起こっている官僚機構の話だと考えられる。これは、AIと相性がいいと考えられる。現に銀行の融資審査はAIが行うようになってスピードアップしたという話である。しからばここには新しい風が吹き込んでいるようだから、ここを取材して立場主義や関守の仕事が今後どうなるのかを考察してほしい。
アメリカのIT企業で万を超えるリストラが相次いだという。それはひょっとしてこの関守の仕事をしていた人の仕事がAIに置き換わったことではないのか。(新聞ではそうだとは言っていない。)もしそうなら同じことが日本で起きないか、起きたらあの「〇〇であるとするなら謝りたい。」という気分の悪い喋り方をする人が居なくなるから大いにいいことだと思うが本当にそうなのかの考察を入れてほしい。これに関して一番大事なことは、今の日本の教育はよき関守に育て上げよき立場に立たせるためのものである。そのためには事務処理能力が要求されるからそれを育てるように工夫されている。この教育の目標が変わるのであるから、教育もどう変えるかの議論はもっと早くから必要であろう。
さらに参考になりそうだからこんな話も聞きたい。この東大話法というのは、そのもとは官僚語法というものであろう。昔は、「窓口が違う」と言ったり「アー」、「ウー」と言って訳が分からん対応をしていたものが説明責任の方針のもとで言語明瞭意味不明の発言に変わったものが東大話法だろう。この官僚組織はもともとは古い中国の発明でうまくいくときとうまくいかないときが交互に現れたようだ。清国末期にフランスがこれはいいと取り入れて日本がそのフランスのまねをしたと聞いている。このシステムは果たしてAIのもとで変化するのだろうか。するとしたらどんな変化なのか。産業革命時の手工業の工場が蒙った変化と同じくらい大きな変化がこの東大話法を使う人々に及ぶと考えられるが果たしてそうか。
もしAIによって関守の仕事が劇的に少なくなれば、人々は週3日午前中だけの働きで充分の時代がやってくると考えられる。そうすると関守をやって(本当に忙しい、または忙しい振りをする)立場主義を堅持していた人は人生観を変えねばならなくなるが、その場合はどんな人生観になるのか。もしかして引きこもりの人々をお手本とすることにならないのか。または「遊び方指南所」という新しい商売ができるんじゃないか。など10年も経ったのであるから加筆することは一杯あると思われる。
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