アンソロジー作品で「大森望」がセレクトした小説集『不思議の扉 時間がいっぱい』を読みました。

時間にまつわる世にも奇妙な物語を集めた作品集で「不思議の扉」シリーズの第2弾です。
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古今東西の短編小説から不思議な味わいの作品を集めたアンソロジー第2弾のテーマは「時間がいっぱい」。
笑いを誘う話から怖い話、ほのぼのする話まで、盛りだくさんでお届けします。
―同じ時間が何度も繰り返すとしたら?
時間を超えて追いかけてくる女がいたら?
想像力の限界に挑む、時間にまつわる奇想天外な物語の傑作集。
「筒井康隆」、「大槻ケンヂ」、「牧野修」、「谷川流」、「星新一」、「大井三重子」、「フィツジェラルド」が描く、時間にまつわる奇想天外な物語!
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「大森望」がセレクトした"時間モノ"のSF作品やファンタジー作品7篇が収録されています… タイムトラベルが中心ですが、同じジャンルであっても、それぞれ特色があり、多彩なバリエーションが愉しめましたね。
■筒井康隆 しゃっくり
■大槻ケンヂ 戦国バレンタインデー
■牧野修 おもひで女
■谷川流 エンドレスエイト
■星新一 時の渦
■大井三重子 めもあある美術館
■フィツジェラルド(訳=永山篤一) ベンジャミン・バトン 数奇な人生
■解説 タイム・アフター・タイム ――時間をめぐる冒険 大森望
個人的に気に入ったのは、「筒井康隆」の『しゃっくり』、「大槻ケンヂ」の『戦国バレンタインデー』、「大井三重子」の『めもあある美術館』の3篇ですね… 特に1960年代に描かれた『しゃっくり』、『めもあある美術館』は、とても印象的な作品でした。
まるで時間がしゃっくりを起こしたように、何度も同じ10分間が繰り返される… 何をやっても10分後には全てリセットされて、残るのは記憶だけ、、、
時間の檻に閉じ込められた人々の運命は… 今から50年以上も前の1965年(昭和40年)に描かれた元祖"時間ループモノ"の『しゃっくり』がイチバン印象に残りましたね。
"時間ループモノ"で印象深い「ケン・グリムウッド」の『リプレイ』や、「乾くるみ」の『リピート』よりも、もっともっと以前に、こんな作品が描かれていたなんて… でも、同じ10分間に閉じ込められてしまったら、まともな精神状態を保つことができないでしょうね。
ゴシック&ロリータの少女「留名(るな)」が戦国時代にタイムスリップ!?兵糧攻めにあっているお城のお姫様につかまり、「わらわにその着物を貸せ」と迫られて、さあ大変… これはバレンタインの勝負服だったのに、、、
ユーモラスなどたばたSFが愉しめる『戦国バレンタインデー』は、バカバカしいけど「大槻ケンヂ」らしさが前面に出ていて面白い作品でした。
『めもあある美術館』は、姉の頭髪を引っ張って泣かせ、母に叱られ、針箱のへりをふんでひっくりかえし、下駄をつっかけて家を飛び出した"ぼく"が主人公… "ぼく"が、あてもなく歩いていると、古道具屋があり、そこには額縁も無い、板に描かれた亡き祖母の油彩画があった、、、
"ぼく"が未就学児であったころの、亡き祖母が風車を持つ絵である… その絵を購入した長身の男性について行くと、男は、この絵はきみが描いた絵であって、めもあある美術館に持って行くのだという。
そこにはなぜか、"ぼく"の氏名の木札が掲げられた部屋があり、扉の中の室内には、飼い犬の絵、隣家の「スエちゃん」の絵、機関車の玩具の絵、その隣りに祖母の絵その他が掛けられ、最後の絵は、針箱を蹴飛ばしている"ぼく"の絵だった… その先は中身が空の額縁ばかりが掛かっており、男は「きみはこれからこの額のなかに絵を描きつづけてゆく、1枚でも見たくなったならばいつでも見に来るように」と言い、玄関石段まで見送ってくれる、、、
どこかに自分の名前の部屋があり、そこには自分の歴史を描いた絵画がある… そんな気持ちにさせられる不思議な作品でした。
1961年(昭和36年)に描かれた作品だそうです… 魅力的な小品でしたね、、、
ちなみに「大井三重子」って、「仁木悦子」の別名なんだそうです。

時間にまつわる世にも奇妙な物語を集めた作品集で「不思議の扉」シリーズの第2弾です。
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古今東西の短編小説から不思議な味わいの作品を集めたアンソロジー第2弾のテーマは「時間がいっぱい」。
笑いを誘う話から怖い話、ほのぼのする話まで、盛りだくさんでお届けします。
―同じ時間が何度も繰り返すとしたら?
時間を超えて追いかけてくる女がいたら?
想像力の限界に挑む、時間にまつわる奇想天外な物語の傑作集。
「筒井康隆」、「大槻ケンヂ」、「牧野修」、「谷川流」、「星新一」、「大井三重子」、「フィツジェラルド」が描く、時間にまつわる奇想天外な物語!
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「大森望」がセレクトした"時間モノ"のSF作品やファンタジー作品7篇が収録されています… タイムトラベルが中心ですが、同じジャンルであっても、それぞれ特色があり、多彩なバリエーションが愉しめましたね。
■筒井康隆 しゃっくり
■大槻ケンヂ 戦国バレンタインデー
■牧野修 おもひで女
■谷川流 エンドレスエイト
■星新一 時の渦
■大井三重子 めもあある美術館
■フィツジェラルド(訳=永山篤一) ベンジャミン・バトン 数奇な人生
■解説 タイム・アフター・タイム ――時間をめぐる冒険 大森望
個人的に気に入ったのは、「筒井康隆」の『しゃっくり』、「大槻ケンヂ」の『戦国バレンタインデー』、「大井三重子」の『めもあある美術館』の3篇ですね… 特に1960年代に描かれた『しゃっくり』、『めもあある美術館』は、とても印象的な作品でした。
まるで時間がしゃっくりを起こしたように、何度も同じ10分間が繰り返される… 何をやっても10分後には全てリセットされて、残るのは記憶だけ、、、
時間の檻に閉じ込められた人々の運命は… 今から50年以上も前の1965年(昭和40年)に描かれた元祖"時間ループモノ"の『しゃっくり』がイチバン印象に残りましたね。
"時間ループモノ"で印象深い「ケン・グリムウッド」の『リプレイ』や、「乾くるみ」の『リピート』よりも、もっともっと以前に、こんな作品が描かれていたなんて… でも、同じ10分間に閉じ込められてしまったら、まともな精神状態を保つことができないでしょうね。
ゴシック&ロリータの少女「留名(るな)」が戦国時代にタイムスリップ!?兵糧攻めにあっているお城のお姫様につかまり、「わらわにその着物を貸せ」と迫られて、さあ大変… これはバレンタインの勝負服だったのに、、、
ユーモラスなどたばたSFが愉しめる『戦国バレンタインデー』は、バカバカしいけど「大槻ケンヂ」らしさが前面に出ていて面白い作品でした。
『めもあある美術館』は、姉の頭髪を引っ張って泣かせ、母に叱られ、針箱のへりをふんでひっくりかえし、下駄をつっかけて家を飛び出した"ぼく"が主人公… "ぼく"が、あてもなく歩いていると、古道具屋があり、そこには額縁も無い、板に描かれた亡き祖母の油彩画があった、、、
"ぼく"が未就学児であったころの、亡き祖母が風車を持つ絵である… その絵を購入した長身の男性について行くと、男は、この絵はきみが描いた絵であって、めもあある美術館に持って行くのだという。
そこにはなぜか、"ぼく"の氏名の木札が掲げられた部屋があり、扉の中の室内には、飼い犬の絵、隣家の「スエちゃん」の絵、機関車の玩具の絵、その隣りに祖母の絵その他が掛けられ、最後の絵は、針箱を蹴飛ばしている"ぼく"の絵だった… その先は中身が空の額縁ばかりが掛かっており、男は「きみはこれからこの額のなかに絵を描きつづけてゆく、1枚でも見たくなったならばいつでも見に来るように」と言い、玄関石段まで見送ってくれる、、、
どこかに自分の名前の部屋があり、そこには自分の歴史を描いた絵画がある… そんな気持ちにさせられる不思議な作品でした。
1961年(昭和36年)に描かれた作品だそうです… 魅力的な小品でしたね、、、
ちなみに「大井三重子」って、「仁木悦子」の別名なんだそうです。
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