森幸一(編) 「味噌、醤油、酒の来た道」 小学館
⑨日本のすし、富山のすし 中川 眸
以下、メモより
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いずし : 加賀の蕪ずし
飛騨の鰊ずし
秋田のハタハタずし
北海道の鮭ずし
※野菜と麹で魚を漬ける
10世紀の和名類聚鈔より
鮓:漬物 米と塩で醸し熟成したら食べる
鮨:塩辛 魚の醤
※平安時代 すでに鮓と鮨の混同がおこっていた
大言海には鮨は誤用と書いてある
中国ではなれずし(馴れずし)は鯉を使う
なれずしの日本への伝播は中国を経由していないのではないか
朝鮮では馴れずしをシッヘと言う
塩漬けにした魚の切り身を米飯あるいは粟飯と唐辛子粉を用いて発行熟成させる
主な材料は海魚・生姜・味噌・胡麻・油・塩・醤油・麦芽・麹
キムチは沈菜(野菜を主とした漬物) 発酵課程で塩辛が加わったと考える
日本の「いずし」はキムチの系統ではないか
朝鮮の馴れずしは日本海側、キムチは東シナ海側に偏っている
日本の馴れずしは滋賀、京都、和歌山・・・
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■摂丹型民家と馴れずし
この本を読んだときは何も考えていなかったのだが、後から下記のようなことを想像した。
京都の北部あたりに今でも残っている妻入りの民家形式に摂丹型というのがある。入ってすぐ土間があって、次の間は今は板敷きになっているのだが古くは裸足で上がる「土間」だったという。
これとそっくりな住居が朝鮮にもあった。今はたぶん消滅していると思うが、1970年代だったか80年代だったか、韓国の地理学者が一部の山村でわずかに現存していたのを発見したというのを読んだ事がある。なんで発見と大げさなことを言うかというと、朝鮮には妻入りの民家は無いものとされてきたから。
この朝鮮の妻入り住居の形式が摂丹型の民家に似ている。
で、この朝鮮の妻入り住居は江原道の海岸から遠く離れた山間部にあったのだが、古くはもっと広範囲に広がっていたんじゃないか、もしかして朝鮮の馴れずし地域と重なっていたんじゃないかと想像した。
つまり古い時代の京都・若狭あたりと関係あるんじゃないかと。
まあ、素人の想像です。
⑩日本の酒、高志の酒 小泉 武夫
以下、メモより
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ヨーロッパ:麦芽酒文化
アジア :カビ酒文化
古事記 応神記 百済 須須許理(ススコリ)
酒を醸(か)むことを知れる
※日本で最初の酒を造った人といわれるが、違う
日本の酒は大陸の影響を受けていない
日本の麹のタイプが大陸と異なる
日本は散麹(ばらこうじ)
大陸は穀物を粉砕して生のまま水で練ってつくる餅麹
※中国のキョク、朝鮮のキョク子、フィリピンのブボット、
インドネシアのラギー、ネパール・ブータン・チベットのムルチャ
は全て餅麹
日本はコウジカビ
大陸はクモノスカビ
稲の穂に黒緑色の糸状菌の玉が付くが、これが散麹の原型
この糸状菌の玉にはウスチラジノイデア菌とコウジ菌(アスペルギルス)でできている
大半がウスチラジノイデア菌だが35℃以上では増殖できない
逆にコウジ菌は35℃以上になると活発になる
日本の酒は米を蒸して、それに種麹を加える
この麹のつくり方だけでも日本の酒は大陸の影響を受けていないことがわかる
延喜式に既に今の酒のつくり方がでている
大陸の酒:麹+蒸した穀物+水 一度に仕込む
日本の酒:もと(酉+元 酒母のこと)→醪(もろみ) 添仕込み
仲仕込み
留仕込み
※工程も異なる
稲麹製造工程
①・原料米 → 精米 → 水洗・浸漬 → 蒸米
・椿枝葉 → 現地蒸焼き → 清置貯蔵 → 木灰
・麹カビ原株 → 純粋培養 → 培養原菌
②蒸米+木灰→木灰添加
③木灰添加後に培養原菌を添加→原株添加
④原株添加したものを培養室へ→手入れ→出麹→検査→製品
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■この本を始めて読んだのはずいぶん前だったのだが、この麹の話から日本の酒についていくつか読んでみたいと思っていて、思い立ったのが昨年の暮れ。以前書いた朝鮮の酒はその後に読んだもの。
日本酒に混じって中国の酒に関しての読み物も多かったのですが、「大陸の酒:麹+蒸した穀物+水 一度に仕込む」というモノも見つけました。地面に穴を掘ってそこに一緒に材料を詰め込んで蓋をして酒を醸しだすという豪快というか適当というか、まあ中国だなぁという酒でした。
「酒造りの歴史」に続く。
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