2014年4月1日 第1刷発行
著者は1953年鳥取生まれ。1976年福井大学工学部建築学科卒。2000年東京大学大学院工学系研究科より工学博士授与。
カンナ、ノコギリ、ノミ、キリ、スミツボ等の洋の東西の比較と建築技法について書かれた本。
①カンナ
日本のカンナは現代は18種類42点。2200年前のローマ時代には台カンナあり。中国ではBC8世紀にヤリカンナ、漢代の「釈名」には「金+斯」(やりがんな)の文字あり。「釿有高下之跡 其上而平之也」(チョウナには高下の跡あり その上をこれで平らにする)。15世紀の魯班経には鉋の文字。10世紀の太平御覧には「金+斯」の文字はあるが鉋の文字はない。元によって西から東へ伝わったか。日本、台カンナは大阪城の16世紀末の地層から出土。17世紀、喜多院職人尽絵に台カンナ。18世紀、和漢船用集に台カンナの刃幅一寸二分から二寸まで二分きざみ5種類の記述あり。
②ノコギリ
3500年前、エジプトで使われたと見える銅製のノコギリが出土。4500年前、壁画に描かれる。2800年前、スイスで引き使いのノコギリ出土。3600年前、中国、青銅製の推し引き両用。日本、古墳時代4世紀・5世紀出土。座位か立位か、精度を求めるか、硬木か軟木か。推すか引くかの違いにつながる。
③ノミ
日本、12種類49点。5000年前のエジプト、銅製ノミ出土。中国、殷代、青銅製のノミ出土。朝鮮半島北部、紀元前3世紀、鉄製ノミ出土。日本、2000年前、鉄製ノミ出土。
④キリ
2500年前のエジプト、壁画。紀元前8世紀エジプト、アッシリア製の鉄のキリ出土。中国殷代、青銅製のキリ出土。日本5世紀、鉄製のキリ出土。
⑤スミツボ
3500年前のギリシャ、ギリシャ詩歌集、ラインアンドオーカーボックスの記述。中国殷代に関する記述を引用した「広韻」「赤+者」縄の記述。中国戦国時代、南北朝時代の文献「素問」「涅槃経」墨縄の文字。宋代には墨斗の文字。これらがスミツボか。日本、8世紀、栄根遺跡から出土。
P150 中国南西部、掘っ建て建築から礎石建築への移行を比較する図あり。掘っ建ての家は倭族の家。下から上に外へ傾斜した壁、高床、露台。
P154 建築部材接合法の基本形解説。桜町遺跡(縄文4000年前)、枘(ほぞ)、相欠(あいかぎ)、欠込(かきこみ)、大入(おおいれ)、輪薙込(わなぎこみ)、貫通(ぬきとおし)。弥生時代には加えて渡腮(わたりあご)、三枚組(さんまいぐみ)、蟻(あり)。※渡腮(わたりあご)は桜町遺跡から出土という報告あり。ヨーロッパの新石器、青銅、鉄器時代、中国の新石器(河姆渡)を凌駕する。
(2021年10月 西宮図書館)
著者は1953年鳥取生まれ。1976年福井大学工学部建築学科卒。2000年東京大学大学院工学系研究科より工学博士授与。
カンナ、ノコギリ、ノミ、キリ、スミツボ等の洋の東西の比較と建築技法について書かれた本。
①カンナ
日本のカンナは現代は18種類42点。2200年前のローマ時代には台カンナあり。中国ではBC8世紀にヤリカンナ、漢代の「釈名」には「金+斯」(やりがんな)の文字あり。「釿有高下之跡 其上而平之也」(チョウナには高下の跡あり その上をこれで平らにする)。15世紀の魯班経には鉋の文字。10世紀の太平御覧には「金+斯」の文字はあるが鉋の文字はない。元によって西から東へ伝わったか。日本、台カンナは大阪城の16世紀末の地層から出土。17世紀、喜多院職人尽絵に台カンナ。18世紀、和漢船用集に台カンナの刃幅一寸二分から二寸まで二分きざみ5種類の記述あり。
②ノコギリ
3500年前、エジプトで使われたと見える銅製のノコギリが出土。4500年前、壁画に描かれる。2800年前、スイスで引き使いのノコギリ出土。3600年前、中国、青銅製の推し引き両用。日本、古墳時代4世紀・5世紀出土。座位か立位か、精度を求めるか、硬木か軟木か。推すか引くかの違いにつながる。
③ノミ
日本、12種類49点。5000年前のエジプト、銅製ノミ出土。中国、殷代、青銅製のノミ出土。朝鮮半島北部、紀元前3世紀、鉄製ノミ出土。日本、2000年前、鉄製ノミ出土。
④キリ
2500年前のエジプト、壁画。紀元前8世紀エジプト、アッシリア製の鉄のキリ出土。中国殷代、青銅製のキリ出土。日本5世紀、鉄製のキリ出土。
⑤スミツボ
3500年前のギリシャ、ギリシャ詩歌集、ラインアンドオーカーボックスの記述。中国殷代に関する記述を引用した「広韻」「赤+者」縄の記述。中国戦国時代、南北朝時代の文献「素問」「涅槃経」墨縄の文字。宋代には墨斗の文字。これらがスミツボか。日本、8世紀、栄根遺跡から出土。
P150 中国南西部、掘っ建て建築から礎石建築への移行を比較する図あり。掘っ建ての家は倭族の家。下から上に外へ傾斜した壁、高床、露台。
P154 建築部材接合法の基本形解説。桜町遺跡(縄文4000年前)、枘(ほぞ)、相欠(あいかぎ)、欠込(かきこみ)、大入(おおいれ)、輪薙込(わなぎこみ)、貫通(ぬきとおし)。弥生時代には加えて渡腮(わたりあご)、三枚組(さんまいぐみ)、蟻(あり)。※渡腮(わたりあご)は桜町遺跡から出土という報告あり。ヨーロッパの新石器、青銅、鉄器時代、中国の新石器(河姆渡)を凌駕する。
(2021年10月 西宮図書館)