投錨備忘録 - 暇つぶしに借りた本のメモを残すブログ

太陽がいっぱい(ナイフの握り方はペンハンドで) - 映画に出てくる食事の場面(9)

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 1960年のフランスとイタリアの合作映画。監督はルネ・クレマン。出演はアラン・ドロン、マリー・ラフォレ、モーリス・ロネ。

  この映画の食事の場面もとても有名。アラン・ドロン、マリー・ラフォレ、モーリス・ロネが三人でヨットのキャビンで食事をする場面。皿に乗っているのは魚料理。調理の仕方は良くわからないがソテーかグリルか。生まれも育ちも良いモーリス・ロネはその料理を手で食べる。その食べ方がとても自然でかっこいい。モーリス・ロネの友人だが生まれも育ちも良くないアラン・ドロンはナイフとフォークを使って魚を口に運ぶ。その場で得意げに話をしているのはアラン・ドロン。その話を苦々しく苛立ちを隠さずに聞くモーリス・ロネ。つと手を伸ばしアラン・ドロンのナイフの握り方を直す。上品ぶって見せるとお里が知れる。だいたいナイフの握り方が違うと。ペンハンドでナイフを握るのが正しい作法だとは全く知らなかった。


 マリー・ラフォレの前で恥をかかされたアラン・ドロンはこの時点でモーリス・ロネを殺すことを決めたのか。モーリス・ロネを殺害し、モーリス・ロネに成りすますためにアラン・ドロンがモーリス・ロネのサインを徹夜して真似る場面はとても好きだ。

 映画解説者の淀川長治さんは、この映画の主人公と殺害される友人はホモセクシャルな関係があるといっていた。それを下地として観ないとこの映画は理解できないと。淀川長治さんだからこその視点。いわれればそうかなとも思うが、そういう見方をしなくとも楽しめる映画。


(2014年8月)
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