投錨備忘録 - 暇つぶしに借りた本のメモを残すブログ

花よりもなほ(犬鍋) - 映画に出てくる食事の場面(10)

花よりもなほ 通常版 [DVD]
クリエーター情報なし
バンダイビジュアル


 2006年の日本映画。監督は是枝裕和。出演は岡田准一、宮沢りえ、古田新太。

 時代は元禄15年、赤穂浪士の討ち入りの前。江戸の場末の長屋が舞台。長屋のぼろさ、そこに住まう面々の貧しさ。でもそこに住まう人々は明るく生き生きと暮らす。岡田准一は父の仇討ちのために信州松本から江戸に出てきた若い武士を演じる。剣の腕はからきし。それでも親の仇を探す日々。そしてついに見つけるのだが・・・。公開当時、テレビでCMが盛んに流されていて面白そうだとは思っていたのだが見逃していた。数年前に友人に勧められてDVDを借りて観た。良くできた映画だった。面白く観た。

 食事の場面はいくつか出て来るが選んだのは犬鍋の場面。

 雨模様の日。ここ数日雨が続く。古田新太、上島竜兵、木村祐一、千原靖史が鍋を囲む部屋に業突く張りで嫌われ者の大家である國村隼が家賃取立てに来る場面。

 「おーおーびしょぬれじゃねーか。ちょっと一杯食べて温まってけ。」

 という古田新太の誘いの文句に

 「そうか」

 と椀を渡され食べ始める國村隼。




 味は味噌味なのか。そばに置いてある甕には骨が積み重なっている。わかりやすく頭蓋骨まである。頭もきれいに食ったのか。骨をしゃぶってポーンと甕に投げ入れる。味を怪しんだのか甕を見たのが先か國村隼は飛び上がるのだ。徳川綱吉の治世の時代。生類憐れみの令の時代。這う這うの体で家賃も取らず國村隼は逃げるように出ていく。


(2014年8月)
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