ニッコロ・ディ・ブオナッコルソ
《玉座の聖母子と聖司教、洗礼者聖ヨハネ、四天使》
1380年頃、46.3×31.7cm
ボストン美術館
三連祭壇画の一部であったと考えられますが、左右は失われておりこの中央部のみが現存しています。金が巧みに用いられ、聖母子の座る玉座や右手の司教の衣服に壮麗な模様が施されています。マリアの頬のほんのりとした赤色などの繊細な色彩や、衣服のひだに見られる優美な線に、画家が活躍した地で興ったシエナ派の特徴が認められます。
本作品は、7月23日から10月2日まで東京都美術館で開催予定の「ボストン美術館展 芸術×力」に出品予定である。
同展は、当初は2020年に東京・福岡・神戸の3会場にて開催予定も、中止となった。
復活した同展の内容は、2020年予定とほぼ同じとのことであるが、開催地が東京1会場のみとなり、非常に複雑な気持ち。
ニッコロ・ディ・ブオナッコルソ(niccolò di buonaccorso)の名前は初めて知る。
確認すると、ミラード・ミース著『ペスト後のイタリア絵画』に名前がちょこっと出てくる。
14世紀後半のシエナ派の画家で、1355年にシエナの画家ギルドに加わり、1388年に没したとされる。
画家の詳細はほとんど知られておらず、また、現存する作品数も少ないようである。
残された作品は、個人礼拝用なのだろう、小サイズであるが、細密に色彩豊かに装飾された作品が多いようである。
以下、ブランド美術館に所蔵されるニッコロ・ディ・ブオナッコルソ作品5選。
ニッコロ・ディ・ブオナッコルソ
《マリアの神殿奉献》
1380年、51×34cm
ウフィツィ美術館
ニッコロ・ディ・ブオナッコルソ
《マリアの婚約》
1380年頃、50.9×33cm
ロンドン・ナショナル・ギャラリー
ニッコロ・ディ・ブオナッコルソ
《受胎告知》
1370-88年、39.1×26.4cm
ワズワース・アセニウム美術館、ハートフォード
ニッコロ・ディ・ブオナッコルソ
《謙遜の聖母》
1380-85年頃、54×30cm
ルーヴル美術館
ニッコロ・ディ・ブオナッコルソ
《聖母の戴冠》
1380年頃、44.8×26.7cm
メトロポリタン美術館
同展には、14-16世紀の西洋絵画ではほかに、クラーナハ(父)の宗教画が出品されるとのこと。