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TRIO パリ・東京・大阪
モダンアート・コレクション
2024年5月21日〜8月25日
東京国立近代美術館
パリ市立近代美術館
東京国立近代美術館
大阪中之島美術館
その3館が所蔵するコレクション(20世紀初頭から現代まで)から、共通点のある作品でトリオを組んで展示する展覧会。
トリオは、全34組。
割とゆるい共通点による組合せで、固いことを考えずに楽しめる感じ。
パリ市立近代美術館からの作品もそうであるが、特に、これまでそれほど見たことのない大阪中之島美術館の作品に期待しての訪問。
そこで、大阪中之島美術館の西洋美術5選。
うちジェルメーヌ・リシエ《ランド地方の羊飼い》については別記事で記載したので、以下では4点を取り上げる。
モディリアーニ
《髪をほどいた横たわる裸婦》
1917年、大阪中之島美術館
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日本に最も早く入ったモディリアーニ作品だと考えられている。
画商・美術評論家である福島繁太郎がパリで購入し、日本に持ち帰って、1934年に公開。
1938年、芦屋の実業家で美術蒐集家である山本發次郎が福島より7,700円で購入。戦火を越えて山本家が所蔵してきたが、1983年、西武百貨店に13.5億円で売却。1989年、西武百貨店が19.3億円で大阪市に売却。この額は、当時の欧米の競売でのモディリアーニ最高額10.2億円を大きく上回っていたらしい。
15 モデルたちのパワー
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マティス、モディリアーニの横たわる女性像を上回るパワー。
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萬鉄五郎
《裸体美人》
1912年、東京国立近代美術館
《裸体美人》の展示期間は5/21〜7/21および8/9〜8/25。重要文化財のためだろう、作品保護のための一時休止期間(7/23〜8/8)が設けられ、その間は同じく萬鉄五郎の《裸婦(ほお杖の人)》が展示される。
ウンベルト・ボッチョーニ
《街路の力》
1911年、大阪中之島美術館
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1994年度の購入。
街灯が照らす中、路面電車が疾走する様子が描かれる。
ボッチョーニ(1882-1916)は、20世紀イタリアの未来派の代表的画家であるが、第一次大戦に召集され、訓練中の落馬事故により33歳で亡くなる。
5 加速する都市
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ボッチョーニに負けない疾走感。
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川上涼花
《鉄路》
1912年、東京国立近代美術館
大塚・池袋間の切り通しの中を走る線路に、左下には走る電車が描かれる。
ゴッホ風の筆触、未来派的な疾走感。
川上(1887-1921)も、33歳で亡くなっている。病死(結核)であるらしい。
ジャン=ミシェル・バスキア
《無題》
1984年、大阪中之島美術館
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作家がグラフィック・アーティストとして注目が高まった1990年代前半(1994年度)の購入。今では買えない。
9 都市のグラフィティ
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60年の時を超えて、バスキアと佐伯が共演。
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佐伯祐三
《ガス灯と広告》
1927年、東京国立近代美術館
百花繚乱のパリの街のポスター。
サルバドール・ダリ
《幽霊と幻影》
1934年頃、大阪中之島美術館
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1991年度の購入。6.78億円であったらしい。
11 夢と幻影
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幻想性は、ダリやシャガールに負けていない。
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三岸好太郎
《雲の上を飛ぶ蝶》
1934年、東京国立近代美術館
実際には飛ぶことのできない雲の上で群れる、色とりどりの蝶。
上記以外にも、アンドレ・ボーシャン、マグリット、ブランクーシ、シュザンヌ・ヴァラドン、マリー・ローランサン、レイモン・デュシャン=ヴィヨン、そして、
マーク・ロスコ
《ボトル・グリーンと深い赤》
1958年、大阪中之島美術館
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/0d/b4c894f7d7517b91c876a6df4a0234c5.jpg)
など。
大阪中之島美術館は、本展には出品されていない、西洋美術作品がまだまだあるようだ。
例えば、東京都美術館「デ・キリコ展」に出品中のデ・キリコ《福音書的な静物I》1916年。
主に1991〜94年度、資金が潤沢であった時代に、精力的にコレクション形成に努めていたらしい。
大阪中之島美術館には常設展示がなく、本展のような企画展は、そのコレクションを味わう貴重な機会といえるだろう。
本展は、私的には、西洋美術もそうであるが、それらと共演する日本美術の魅力を認識する機会ともなる。