5月8日放送のNHK日曜美術館「まなざしのヒント メトロポリタン美術館展」をみる。
15-19世紀の西洋絵画65点が出品される「メトロポリタン美術館展」。
過去に例のないほど巨匠の名品ばかりを揃えた奇跡の展覧会。
本番組は、本展出品作をもとに、西洋美術を楽しむための「ちょっとした知識やコツ」を紹介する。
講師は、美術史家で東京大学教授の三浦篤氏と漫画家の荒木飛呂彦氏。
生徒役として、篠原ともえ氏と鈴木福氏が加わる。
対象は、歴史画、ヌード、風俗画の3本立て。
以下、取り上げられた作品。
1.歴史画(神話や聖書の物語画)
【メイン】
フラ・フィリッポ・リッピ(1406頃-69)
《玉座の聖母子と二人の天使》
1440年頃、122.6×62.9cm
*幼児イエスが持つ書籍は、知恵を象徴する。
幼児イエスが前方に足を突き出す、その足元・指の描写にも注目。
【サブ】
カルロ・クリヴェッリ(?-1494/95)
《聖母子》
1480年頃、36.5×23.5cm
*幼児イエスの「赤い十字円光」。
手に持つ小鳥(無垢を象徴するゴシキヒワ)が羽を広げて十字形に。これは「赤い十字円光」に呼応している。
さらに、後ろにかかっているピンクの垂れ幕の折り目も「十字」に見える(鈴木福氏談)。
【課題】
ヘラルト・ダーフィット(1455頃-1523)
《エジプトへの逃避上の休息》
1512-15年頃、53.3×39.8cm
*青いマント・衣の裾から少しだけ見える赤の衣。
【課題】
ディーリック・バウツ(?-1475)
《聖母子》
1455-60年頃、21.6×16.5cm
*母と子の愛情を強調。
2.ヌード
【メイン】
ルカス・クラーナハ(父)(1472-1553)
《パリスの審判》
1528年頃、101.9×71.1cm
*それぞれ真横、正面、背中からの姿を見せる三人の女神。
背中姿の女神は、左足の親指だけ立っている。
【課題】
ジャン=レオン・ジェローム(1824-1904)
《ピュグマリオンとガラテア》
1890年頃、88.9×68.6cm
*妙にリアル(写実的)なアトリエ。
3.風俗画
【メイン】
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(1593-1653)
《女占い師》
おそらく1630年代、101.9×123.5cm
*女性たちは、青年の背中の方でも何かしているに違いない(荒木氏談)。
【課題】
ジャン・シメオン・シャルダン(1699-1779)
《シャボン玉》
1733-34年頃、61×63.2cm
*いつ割れるかとドキドキしながらシャボン玉を見つめる子どもの表情に、私もドキドキする。
「メトロポリタン美術館展」の会期も、残すところあと3週間。
GW中の祝日の訪問時は、17時を過ぎると15-16世紀絵画の展示室が劇的に空いて、クリヴェッリやディーリック・バウツを独占鑑賞できたのは望外の喜びであった。
会期もいよいよ終盤、あと1回行きたいが、混雑するだろうなあ、都合の良い日時指定が都合良く取ることができるかなあ。
メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年
2022年2月9日〜5月30日
国立新美術館
以上、本展の大阪会場および東京会場のフライヤーを小サイズ表示で掲載。
コメントありがとうございます。
美術館で床に座って絵を見るといえば、2013年の都美「エル・グレコ」展を思い出しました。
マスコミで紹介された大祭壇画「無原罪のお宿り」のおススメの鑑賞スタイルが、会期終盤には広まっていて、皆が皆、床に座り込んで祭壇画を仰ぎ見ていた光景は、おもしろかったです。
あんな風に床に座って鑑賞したい。