円覚寺の至宝
鎌倉禅林の美
2019年4月20日~6月23日
三井記念美術館
最近ご無沙汰だが、これまで数度行った鎌倉観光、JR横須賀線・北鎌倉駅で下車し、円覚寺または建長寺、または双方の参拝からスタートするのが定番である。
JR北鎌倉駅。妙に細長く感じるホーム、すぐ目の前に円覚寺の総門、構内踏切を渡って東口から出た駅周辺の様子。JR横須賀線が円覚寺境内を横切っており、駅自体も円覚寺境内にあることで、他の駅では伺えない雰囲気を醸し出している。
円覚寺では、建造物(特に昔の30円切手の図案になった国宝「舎利殿」外観を物凄く遠くから見るのは欠かせない)や季節の花々、境内の雰囲気を楽しんでいる。
寺宝については、11月3日前後の3日間行われる「宝物風入」の際に公開される(普段は鎌倉国宝館に寄託、適宜公開)らしいが、その時期に行ったことはなく、これまで縁がない。というか、鎌倉国宝館などでの展覧会では目にしたことはあるのかもしれないが、円覚寺と意識して見たことがない。
本展は、円覚寺の寺宝をまとまって味わえる良い機会、しかしどんな寺宝があるのか全く知らないままでの訪問である。
【本展の構成】
・無学祖元の「開山箪笥」(展示室1)
・円覚寺の名品(展示室2)
・円覚寺の華厳禅と舎利信仰(展示室4)
・鎌倉宋朝禅の蘭渓道隆と無学祖元(展示室4)
・大陸文化との交流(展示室4・5)
・円覚寺派の展開(展示室7)
仏像・頂相彫刻、仏画・絵画、書跡、磁器、そして「開山箪笥(かいさんだんす)」など約110点が並ぶ。
【印象に残る寺宝3選】
重文《椿梅竹堆朱盆》(「開山箪笥」)
元時代、円覚寺
1282年に鎌倉幕府8代執権北条時宗により中国から招聘した無学祖元(むがくそげん)を開山として創建された円覚寺。「開山箪笥」は、開山無学祖元の所用と伝えられる南宋、元時代の品々(一部日本製)で、円覚寺の寺宝の中でも特別な存在に位置付けられているとのこと。
数ある「開山箪笥」のなかで、本作の細工の鮮やかさに惹かれる。
重文《滝見観音菩薩遊戯坐像》
南宋時代、清雲寺
三井記念美術館は、壁面ガラスケースでの展示が基本となるが、彫刻の場合は近距離で鑑賞できるのが魅力。
数ある仏像・頂相彫刻のなかで、中国で造られた仏像、片膝を立て片足を垂らした「遊戯坐像」のくつろいだ姿に惹かれる。
重文《被帽地蔵菩薩像》
高麗時代、円覚寺〈前期展示〉
数ある仏画・絵画のなかで、朝鮮で描かれた仏画、高麗時代っぽい(と言ってもよく知らないけど)彩色に惹かれる。
頂相彫刻、円覚寺所蔵の重文《無学祖元坐像》と建長寺所蔵の重文《蘭溪道隆坐像》が並んで展示されるのも見どころであるらしい(その辺の有難さはよく分からない)。
割とコンパクトな展示内容だが、建造物(≒国宝「舎利殿」)ではない、美術工芸品の円覚寺を見ることができた。