東京でカラヴァッジョ 日記

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「ピエール・ボナール展」(国立新美術館)

2018年10月28日 | 展覧会(西洋美術)
オルセー美術館特別企画  
ピエール・ボナール展
2018年9月26日~12月17日
国立新美術館


本展開催趣旨より
   19世紀末のフランスでナビ派の一員として出発した画家ピエール・ボナール(1867-1947年)は、浮世絵の影響が顕著な装飾的画面により、「日本かぶれのナビ」の異名を取りました。
   20世紀に入ると、目にした光景の印象をいかに絵画化するかという「視神経の冒険」に身を投じ、鮮烈な色彩の絵画を多数生み出します。
   本国フランスでは近年ナビ派の画家たちへの評価が高まり、2015年にオルセー美術館で開催されたピエール・ボナール展では51万人が魅了され、2014年のゴッホ展に次ぐ、歴代企画展入場者数の第2位を記録しました。 
   本展覧会は、オルセー美術館の豊富なコレクションを中心に、国内外のコレクションのご協力を仰ぎ、130点超の作品で構成されるボナールの大規模な回顧展です。油彩72点、素描17点、版画・挿絵本17点、写真30点といったさまざまなジャンルを通じて、謎多き画家ボナールの魅力に迫ります。
 
 
本展の構成
1   日本かぶれのナビ
2   ナビ派時代のグラフィック・アート
3   スナップショット
4   近代の水の精(ナイアス)たち
5   室内と静物「芸術作品ー時間の静止」
6   ノルマンディーやその他の風景
7   終わりなき夏
 
 
   オルセー美術館所蔵作品が主、国内美術館と若干の欧州コレクションを加えて構成されるボナール回顧展。
   136点の出品。
   内訳は、油彩72点、素描17点、版画・挿絵本17点、写真30点。
   所蔵者別では、オルセー美術館104点、国内23点、海外5点、個人蔵4点。
 
 
   会場冒頭のオルセー美術館長の挨拶パネルに、東京では37年ぶりの本格的な大回顧展とある。
 
   ボナールについては、その作品を観る機会は多いが、回顧展となると確かにあまり記憶にないなあ。国立新美術館の検索サイトで確認してみる。
 
1968年
「ボナール展:生誕100年記念」
国立西洋美術館
京都国立近代美術館
 
1980-81年
「ボナール展:色彩の交響楽」
日本橋・高島屋
兵庫県立近代美術館
愛知県文化会館美術館
福岡市美術館
 
1991年
「ボナール展:幸福は、このカンバスの上にある。」
伊勢丹美術館
奈良そごう美術館
そごう美術館
福岡市美術館
 
1997年
「ボナール展:没後50年/生きる悦び」
愛知県美術館
Bunkamuraザ・ミュージアム
 
2004年
「ピエール・ボナール展:彩られた日常」
損保ジャパン東郷青児美術館
鹿児島市立美術館
徳島県立近代美術館
 
   37年前の東京の回顧展とは、どうやら1980年の日本橋高島屋での展覧会を指すらしい。ボナール展という題名だけでは駄目なのですね、
 
 
 
   ボナールといえば、後年の「暖色を主調にした華麗な色彩表現」に着目されることが多い印象。
   私的には、その場は相応に楽しむものの後に残らないという感じが続いていたが、状況が少し変わったのは、三菱一号館美術館「オルセー美術館のナビ派」展。ボナールの1890年代の作品、ボナールがナビ派であった時代の作品。同時代のナビ派たちの作品に囲まれるなか、「日本かぶれのナビ」として輝いていた。
 
 
   本展でも、ボナールがナビ派であった時代の作品が第1章に展示される。
   三菱一号館美術館「オルセー美術館のナビ派」以来の再会となる作品(無印)、その時は出品されなかった作品(☆印)。
 
《庭の女性たち》4点組装飾パネル
《黄昏(クロッケーの試合)》
《格子柄のブラウス》
《砂遊びをする子ども》☆
《乳母たちの散歩、辻馬車の列》☆
《親密さ》
《ランプの下の昼食》
《男と女》☆
《大きな庭》☆
《ブルジョワ家庭の午後あるいはテラス一家》
など計18点。
 
 
   第1章を中心に、第4章の浴室の裸婦を描いた作品群や、第5章の男女が2人ずつ描かれた《桟敷席》などを見る。
 
   ボナールはこんなもんではない気がするのだが、オルセー所蔵作品だけでやることの限界かなあ。また、三菱一号館美のような天井高の低い小さな展示室ならば、作品の印象がだいぶ違った気がする。


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