春日大社 千年の至宝
2017年1月17日~3月12日
東京国立博物館
奈良といえば、鹿!
本展も鹿推し。
鹿が表された作品には、作品名キャプションの上に、鹿マーク。造形作品には勿論、文書資料にも鹿マーク。
会場に入ると、まず、奈良の鹿の映像。
その左隣に、金地の六曲一双の《鹿図屏風》。
《鹿図屏風》
江戸時代、17世紀
春日大社
通期展示
実物大に近い鹿たちが、右隻に10頭、左隻に18頭、画面一杯に戯れる。
現代の鹿の映像と江戸前期の鹿の描写を見比べつつ、奈良公園で見た鹿を思い浮かべつつ、万城目学氏の小説『鹿男あをによし』とそのテレビドラマを思い出しつつ。
いきなりの鹿インパクトが大きく、以降は鹿巡りに励む。
第1章「神鹿の杜」は、題名どおり、鹿マーク満載の章。出品リスト上は他章の作品の一部もこちらに置かれる。
第2章「平安の正倉院」は、国宝比率8割近く、重文を合わせると95%近くと、春日大社の至宝が集中する章、本展の見どころ章であるらしい。
が、鹿マーク比率はゼロ。
で、もったいなくも、軽く見る程度で過ぎる。
第3章から最後の第6章まで、適度なバランスで鹿マーク。鹿探しに励む。
第3章 春日信仰をめぐる美的世界
第4章 奉納された武具
第5章 神々に捧げる芸能
第6章 春日大社の式年造替
以下、鹿巡りの成果5選。
No.22《鹿図屏風》
江戸時代、17世紀
春日大社
通期展示
No.05 重文《春日鹿曼荼羅》
鎌倉時代、13世紀
京都・陽明文庫
前期展示
堂々と立つ鹿。その姿は神々しい。
No.88 重文《春日宮曼荼羅》
鎌倉時代、13世紀
奈良・南市町自治会
前期展示
春日宮。小さく描かれる鹿。何点か同種の作品が並ぶなかで、「最大画面、最高画格の大作」、他と違って画面も明るくて見やすい。
No.154《春日権現験記絵 巻二十》
鎌倉時代、1309年頃
宮内庁三の丸尚蔵館
前期展示
戯れる鹿の群れに見惚れる。
No.169《春日権現験記絵(徳川美術館本)巻十》
江戸時代、19世紀
徳川美術館
通期(巻替あり)
鹿3頭。さて、何処にいるのでしょうか?
鹿マークなし作品から1点。
春日明神に引率されて地獄見物ツアーをする男。地獄の10の責め苦が描かれる。ここを描くか? 親孝行が大事らしい。
No.170《春日権現験記絵(紀州本)巻六》
江戸時代、1845年
東京国立博物館
前期展示
《春日権現験記絵》は、全20巻。
原本は、1309年に描かれて「春日大社に秘蔵されていたが、江戸後期に流出し、その後勧修寺経逸が収集し、鷹司家を経て、明治8年と同11年の2度にわけて、皇室に献上された」という。
本展では、宮内庁三の丸尚蔵館所蔵の原本2巻のほか、春日大社、陽明文庫、徳川美術館、東博所蔵の江戸時代の模本が出品されている。