ゴヤの≪青い服の子供≫
ルーブル美術館のスペイン絵画コレクションに入るまで
2012年4月27日~10月28日
ルーブル-DNP ミュージアムラボ(第9回展)
久しびりのミュージアムラボ訪問。第5回展以来。
訪問は金曜日(訪問1時間前に予約)。
だからなのか、観客も少ない。
今回の作品は、ゴヤ「青い服の子供」。
1791年作。
モデルは、ルイス=マリア・デ・シストゥエ・イ・マルティネス(1788‐1842年)。当時2歳8カ月。画面下方に銘あり。犬を伴っているが、犬はこちらを向いていない。
なお、モデルの父の肖像画もあわせて制作されたらしい。
制作後、システィエ家に受け継がれてきた本作(サラゴーザ)。
モデルの孫の代が売却し、1928年、画商デュヴィーン兄弟からジョン・D・ロックフェラーJr.が取得(ニューヨークへ)。
1980年代初頭、イヴ・サン=ローランとピエール・ベルジェが取得(パリへ)。
イヴ・サン=ローラン死後まもなくの2009年、ルーヴル美術館に寄贈。
以上、「華々しい」来歴を持つ作品。
父の肖像画は、引き続きシスティエ家が所有しているのだろうか。
以下、窓口で配布される鑑賞マップに沿って。
イントロダクション
ルーブル美術館学芸員ギヨーム・キンツ氏による案内。
展示室「私的な空間」
ゴヤ作品とご対面。
キャプションは、iPad。左側に来歴の説明パネル。
次の「絵画とその物質性」のコーナーが興味深い。
絵画に損傷を与える条件として、「時間」「光」「湿気」「熱」と4つのブロックが用意されている。
1つのブロックを所定の位置に置くと、モニターのゴヤ作品がみるみるうちに劣化していく。
「光」は黄色へ、「湿気」は白へ、「熱」は水泡発生後に黒へ、「時間」はひび割れへ。
次の「画家の選択:イメージを構築・分解する」は、ゴヤ作品をいじくるコーナー。
床のラインを上下させる、モデルの立つ位置を移動させる、服の色を変える、等。
シアター「ゴヤの目」
ゴヤの代表作を見せる12分間の映像。
ホワイエ「公的な空間」
◇ルーブル美術館所蔵のスペイン絵画の傑作
じっくり見ると興味深そう。
ルーブル所蔵作そのもののみならず、関連作についても情報を得ることができる。例えば、所蔵作が宗教画の連作の一部であれば、当初どのように連作が飾ってあったのか、連作はどのような絵で、今どこに所蔵されているのかなど。
◇ルーブル美術館所蔵のスペイン絵画:あるコレクションの歴史
記述が簡潔で情報不足の感。まあきっちり記述されても、消化できないだろうけど。
◇シストゥエ・マシン:解釈は自由
背景、衣装、持ち物を選択する。猛スピードなので、適当にパネルタッチする。大した画像にならないので、プリントアウトは遠慮した。
第5回展まではイヤホンの貸出があったと思うが、今はない。各人が会場の映像モニターをパネルタッチしながら自分のペースで見る形。技術活用の主流は変わるらしい。