エル・グレコ展
2012年10月16日~12月24日
国立国際美術館
「エル・グレコ」、「世界中から傑作50点以上、奇跡の来日!」
そこまで言われると、逆に疑ってしまう。
帰属が怪しい作品、工房作・派作、小サイズの作品、魅力に乏しい作品、等々が多いのではないか。
どれほどの「傑作群」かと、関西に行った機会に、大阪の国立国際美術館を訪問した。
出品数は51点(他に参考出品として他の画家の作品が1点あり、全52点)。
順番に見ていく。
年代順ではなく、テーマ順の展示。
エル・グレコ作とあるが、レベルはともかく、エル・グレコらしくない画風だなあ。
エル・グレコらしい画風だが、レベルはどうかなあ。
イタリア時代のエル・グレコ作品と認められたとのことだが、認められたのは割と最近のことだなあ。
大型祭壇画の縮小レプリカとか、人気作品の再制作・レプリカとされる作品が多いなあ。
レプリカの中には工房の関与度合いが高いもの、全くの工房作とされるものも出てくるなあ。
逆に。
これはかなりのレベルの作品、よく来日してくれたものだなあ。
等々、わかるはずもないのに、勝手な値踏みをする。
50点を鑑賞し、最後の部屋に入る。
「無原罪のお宿り」。
部屋の天井まで達する大祭壇画。
作品に引き込まれる。
この躍動感。
素晴らしい。
本展覧会はこの祭壇画のためにあったのだ。
さて、2巡目。
1巡目とは全く違う見え方。
なぜさっきまであんな穿った見方をしていたのだろう。
1つ1つの作品が実に魅力的である。
347cm×174cmの大祭壇画のみならず、51点全てが、エル・グレコという画家の活動を表わしている。
結論。
私にとって、今年のトップクラスの展覧会であった。
東京での再会が楽しみである。