東京でカラヴァッジョ 日記

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17世紀オランダの女性画家 ー ユディト・レイステルとマリア・ファン・オーステルヴェイク

2019年03月09日 | 西洋美術・各国美術
フェルメール展
2019年2月16日〜5月12日
大阪市立美術館
 
 
ユディト・レイステル (1609〜60)
《陽気な酒飲み》
1629年
アムステルダム国立美術館
 
   ジョッキを握り、傍に喫煙道具を置くこの陽気な酒飲みは、赤い羽根飾りなどの衣装から、オランダの演劇の喜劇役ペーケルハーリンク(「ニシンの酢漬け」の意)だと思われる。作者のレイステルは優れた女性画家のひとりで、ハルスを思わせる闊達な筆使いをみせる。【東京展の小冊子より】
 
 
   レイステルは、ハールレムに生まれる。父親は、地元の醸造業者であり、なぜ彼女が画家の道に進んだのか不明。画業初期、ユトレヒト・カラヴァッジェスキの影響を受ける。1633年、ハールレムの聖ルカ組合の一員となる。同組合最初の女性会員であるようだ。
   レイステルは、ハールレムで活躍するフランス・ハルス(1582/83〜1666)と画業上の交流があったらしい。ハルスの弟子説もある。
   1636年、レイステルは同業の画家ヤン・ミーンセ・モレナールと結婚する。結婚を機に、アムステルダムへ移り住む。結婚後もレイステルは制作を続けたようだが、その時代の作品は殆ど残されていない。現存する作品のほとんどが、1629年から1635年までの間に制作したもの。 
 
   なお、夫ヤン・ミーンセ・モレナールの作品も、本展の風景画の部に1点、《宿屋デ・クローンの外》フランス・ハルス美術館蔵、が出品。「喜劇的な風俗画を得意とした」画家とのこと。
 
 
  以下、レイステル作品4選(いずれも本展非出品作)。
 
 
《自画像》
1630年頃
ワシントン・ナショナル・ギャラリー
  女性画家と言えば、自画像が代表作の一つとされることが多い印象。
 
 
《セレナーデを歌う男》
1629年
アムステルダム国立美術館
  アムステルダム国立美術館が所蔵するレイステルの油彩作品は、私が確認できた範囲では、本展出品作と本作の2点であるようだ。
 
 
 
《若い女性にお金を渡す男》
1631年
マウリッツハイス美術館
   不釣り合いなカップル系か。
 
 
 
《ネコとウナギを持つ少年と少女》
1635年頃
ロンドン・ナショナル・ギャラリー
   子どもを描いた作品、ちょっとふけている印象。
 
 
 
続いてもう一人の女性画家について。
 
 
ワルラン・ヴァイヤン
《花の画家マリア・ファン・オーステルヴェイク(1630年-1693年)の肖像》
1671年
アムステルダム国立美術館
   
   マリア・ファン・オーステルヴェイクは17世紀オランダの数少ない女性画家のひとりで、花の静物画でヨーロッパ中に名を知られた。豪華な服と不釣り合いなパレットと絵筆を持ち、画家であるという自負を示している。膝に載せた書物は、聖書か画家の手引書だろう。【東京展の小冊子より】
 
 
   デルフト近郊の町で生まれる。父親は改革派教会の牧師であったらしい。デルフト、ユトレヒト、アムステルダムで活動し、フランス国王、神聖ローマ皇帝、イギリス国王なども顧客であったという。
   本展出品作は、自画像ではなく、他の画家が描いた肖像画。本展にはこの女性画家の作品は出品されていない。そもそもアムステルダム国立美術館は、私の確認できた範囲では、この女性画家の作品を所蔵していないようだ。
 
 
   で、他の美術館から1選(本展非出品作)。
 
 
マリア・ファン・オーステルヴェイク
《ヴァニタス-静物》
1668年
ウィーン美術史美術館


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