東京でカラヴァッジョ 日記

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ドラッカー・コレクション水墨画名品展(千葉市美術館)

2019年05月23日 | 展覧会(日本美術)
千葉市美術館所蔵作品展  受託記念
ピーター・ドラッカー・コレクション水墨画名品展
2019年4月13日~5月26日
千葉市美術館
 
 
   ピーター・F・ドラッカー(1909〜2005)。「「マネジメントの父」と称えられ、日本でも絶大な信頼を得てきた」経営学者。
   『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』が流行ったのは10年近く前のこと。

   ウィーン生まれのドラッカーは、1934年ロンドンの銀行員時代、帰宅途中ににわか雨に逢い、雨宿りに立ち寄った日本美術の展覧会を見て「恋に落ちた」とされている。収集は、1959年の初来日時から始めたようだ。
 
   彼の日本絵画コレクションは、過去2度、日本にて公開されたようである。
 
1)
ドラッカー・コレクション珠玉の水墨画:『マネジメントの父』が愛した日本の美
 
   2015年5月19日〜6月28日
   千葉市美術館
 
   2015年7月11日〜8月23日
   長野県信濃美術館
 
   2015年10月30日〜12月6日
   山口県立美術館
 
2)
水墨画名作展 : ドラッカーコレクション
 
   1986年9月25日〜9月30日
   松坂屋上野店

   1986年10月1日〜11月23日
   大阪市立美術館
 
   1986年11月29日〜12月21日
   根津美術館
 
   1987年1月4日〜1月13日
   松坂屋名古屋本店
 
 
   その後、ドラッカー・コレクションの全197点が、日本の企業によって取得され、千葉市美術館に寄託された。
   本展は、受託記念・お披露目展として、常設展料金にて50点を公開するもの。
 
 
【本展の構成】
序章   日本美術との出会い
第1章   1960 年代、初期の収集
第2章   室町水墨画
第3章   水墨の花鳥 動物画の魅力
第4章   禅画   江戸のカウンター・カルチャー
第5章   「奇想の系譜」の画家たち
第6章   文人画の威力
 
 
   室町時代から江戸時代までの水墨画コレクション。掛軸が多い。名を聞いたことのない絵師の作品も多い(「他には作例がほとんど見いだせない、つまりここでしかその人の作品を見ることができないという、逸伝の室町水墨画家の作品が何点も含まれる」という)が、それ以上に私でも聞いたことのある絵師の作品も多いのに驚き。雪村周継、尾形光琳、海北友松、白隠、仙厓、又兵衛、芦雪、蕭白、若冲、池大雅、与謝蕪村など。
   現在はともかく、当時の日本美術の市場価格は相対的には低かったのだろうと推測させる。
 
 
   気になった作品は、府中市美術館の「へそまがり日本美術」展の影響だろうか、雪村、仙厓、芦雪。
 
 
雪村周継
《月夜独釣図》室町時代

仙厓義梵
《鍾馗図》江戸時代


長沢芦雪
《娘道成寺図》江戸時代
   鐘+蛇の鱗。
 
 
   同時開催の企画展「オーバリン大学アレン・メモリアル美術館所蔵  メアリー・エインズワース浮世絵コレクション-初期浮世絵から北斎・広重まで」を観て、ぐったりしている状態で本展を鑑賞することとなったのは残念。千葉市美術館は(寄託だけど)充実しましたね。
 
 
   千葉市美術館の次の企画展は、
 
板橋区美×千葉市美
日本美術コレクション展
夢のCHITABASHI美術館!? 
2019年6月1日〜6月23日
千葉市美術館
 
   千葉市美術館と、改修工事で休館中の板橋区立美術館。それぞれの古美術コレクションの共演であるようだ。
   観覧料は一般200円とお手軽。会期は短いけれど、余裕があれば訪問したいところ。  


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