東京国立近代美術館は、2/29から当面の間、臨時休館中です。
ピーター・ドイグ展
2020年2月26日〜6月14日
東京国立近代美術館
1959年スコットランド生まれの画家ピーター・ドイグの日本初個展。しばしば「画家中の画家」と評されるらしい。
ピーター・ドイグ
《天の川》
1989-90年、152×204cm
作家蔵
人気も風もない静かな情景。水面に漂う小さな舟には、一人の人物が力なく横たわっている。この小舟のイメージは、1980年の映画「13日の金曜日」の最後のシーンに由来しているという。同時にアルノルト・ベックリン(1827〜1901)の《死の島》(1880年)も思い起こされるだろう。
水面は周囲の景色を映し出しているが、完全に一致しているわけではない。それどころか、地上の樹木がところどころ闇夜に消えているのに対し、水面の樹木のほうはむしろはっきりと描かれる。鏡像(虚像)のほうが実像より明瞭に見えるという転倒。ならば、天地が反転している絵かと思えば、先の小舟の存在により上下の秩序はかろうじて保たれる。虚実の境界の不鮮明さ、上下の感覚の曖昧さから来る不安定な印象。
(会場の作品解説キャプション参照)
アルノルト・ベックリン
《死の島》第1ver.
1880年
バーゼル美術館
アルノルト・ベックリン
《死の島》第3ver.
1883年
ベルリン美術館
アルノルト・ベックリン
《死の島》第5ver.
1886年
ライプツィヒ造形美術館
アルノルト・ベックリン
《生の島》
1888年
バーゼル美術館
ピーター・ドイグ
《カヌー=湖》
1997-98年、200×300cm
ヤゲオ財団コレクション、台湾