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明治9年(1876年)の新橋〜横浜間の鉄道運賃表&時刻表 -「鉄道開業150年 広がる、広げる- 公文書で描く鉄道と人々のあゆみ -」展(国立公文書館)

2022年11月09日 | 展覧会(その他)
鉄道開業150年 広がる、広げる
- 公文書で描く鉄道と人々のあゆみ -
2022年10月8日〜12月4日
国立公文書館
 
 
 明治5年(1872年)10月14日に、日本初の鉄道が新橋・横浜間に開業してから150年。
 2022年10月を中心に、鉄道開業150年を記念する展覧会がいろいろと開催されている。
 
 その一つが、国立公文書館での本展。
 「公文書で描く鉄道と人々のあゆみ」。
 
【本展の構成】
1章 鉄道の導入
2章 私設鉄道の登場
3章 鉄道の影響力
4章 鉄道に関する論争
5章 現在につながる鉄道
 
 「鉄道との出会い、鉄道導入の決定、新橋〜横浜間の開業、関西の鉄道開業」から、「国鉄と民営化、東海道新幹線、東西線竹橋駅」まで、公文書約40点が展示される。
 
 公文書を楽しめるほど鉄道好きであるわけはない私。
 とっつきやすいものを探す。
 あった。
 展示資料ではなく、壁面の参考図版パネル。
 
 
明治9(1876)年6月の新橋〜横浜間の鉄道の
運賃表&時刻表

 明治9年だから、明治5年の開業から4年後。

 
【鉄道列車賃金表(明治9年6月改正)】
 
 当時の駅は、新橋、品川、大森、川崎、鶴見、神奈川、横浜の7駅。
 
新橋〜横浜間の運賃/新橋〜品川間の運賃
大人料金(小児(5〜12歳)料金は半額)
 上 1円  / 25銭
 中 60銭  / 10銭
 下 30銭  /     5銭
 
 車両クラスにより三段階の運賃設定。当時の物価水準は分からないが、現在の新橋〜横浜間のタクシーの予想料金が9,860円ほどらしいから、それを目安に想像すればよいだろうか。
 
 
【時刻表(明治9年6月改正)】
 
新橋〜横浜間を1日13往復。
 
新橋〜横浜間の所要時間は、58分。
 
現在のJRでの新橋〜横浜の所要時間は、
 東海道線  24分
 横須賀線  28分
 京浜東北線 36分
なので、この程度の時間差というのは意外。
 
運転間隔。
 
始発は、新橋発7:00(上りの横浜発も同じ)
以降、1:15間隔にて(上りの横浜発も同じ)
  8:15
  9:30
 10:45
 12:00
 13:15
 14:30
 15:45
 17:00
 18:15
 19:30
間が開いて
 22:10
 23:20(終電)
 
 終電は、大森と鶴見を通過するようだ(このため、所要時間は55分となる)。
 深夜時間帯もあることは、意外。
 
 
 
 ちなみに、明治5(1872)年の開業当時は。
 
 当時の駅は、新橋、品川、川崎、鶴見、神奈川、横浜の6駅(大森が未開業)。
 
新橋〜横浜間の運賃/新橋〜品川間の運賃
 
大人料金(小児(5〜12歳)料金は半額)
 上 1円12銭5厘/ 18銭7.5厘
 中   75銭   / 12銭5厘
 下   37銭5厘/     6銭2.5厘
 
新橋〜横浜間を1日9往復。
 
新橋〜横浜間の所要時間は、53分。
 
新橋発
  8:00(始発)
  9:00
 10:00
 11:00
 14:00
 15:00
 16:00
 17:00
 18:00(終電)
 
 明治9年が明治5年より、運賃が安くなり、本数も増え、遅くまで走るようになったが、何故か所要時間は増えている。
 
 
 
 さて、気になるのは、時刻表の脇の注意書き。
 以下、抜粋。

・乗車せんと欲する者は遅くとも此表示の時刻より10分前に「ステーション」に来り切手買入其他の手續を為すべし、且賃金の定數を過不足なきやう兼て用意あらんを欲す。但発車並に着車共必ず此表示を違はさるやうには請合かたけれども可成丈遅滞無きよう取行ふべし。
・旅客は總て鐵道規則に隨ひ旅行すべし。
・旅客中乗車を得ると得さるは車内に場所の有無によるべし。
・犬一疋に付賃錢二十五銭川崎を越えされは其半賃錢を拂ふべし、併し旅客車に載するを許さず、犬箱或は車長の車にて運送すべし、尤首輪首綱口綱を備へて相渡すべし。
・発車時限を惰らさる為時限の3分前に「ステーション」の戸を扁すべし。
・吸煙車の外は煙草を許さず。
 
 10分前に来い、とか、3分前に閉めるとか、空港のようだ。
 犬や喫煙も当時から規制対象だったのだ、規制の実効性は分からないが。
 


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