東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」(東京国立博物館)

2018年11月15日 | 展覧会(日本美術)
京都  大報恩寺
快慶・定慶のみほとけ
2018年10月2日~12月9日
東京国立博物館
 
 
 
   東博平成館2階の◯◯寺展といえば。
   盛りだくさんの寺宝が所狭しと展示されていて、その有り難みや味わい方が分からないながらも最初から順路に沿って一通り見ていって、疲れ果ててしまう。
   というようなことがしばしば。
 
 
   しかし、本展は違う。
 
 
   まず、展示スペースがいつもの半分。2階の第3・4室とコンパクト。観覧料金も少し安い。
(残る半分、2階の第1・2室は別料金の特別展・デュシャン展を開催)。
 
   そして、厳選された寺宝の展示。
   「仏像」に厳選。1220年創建、京都市上京区の大報恩寺が誇る、そのHPのトップページでも宣伝される3大仏像、行快作の秘仏本尊《釈迦如来座像》、快慶作の《十大弟子像》十軀、肥後定慶作《六観音菩薩像》六軀が、一軀も欠かすことなく勢ぞろい出品されている。加えて、重要文化財3点、ほか2点の仏像。仏像以外の寺宝の出品は限定的。全ての精力を仏像鑑賞につぎ込むこととなる出品構成。
 
 
   最初に登場するのは、平安時代(10世紀)の仏像、重文《千手観音菩薩立像》1軀。寺の創建より古いその仏像が何故本寺にもたらされたのか不明とのこと。しばらく本寺や北野経王堂に関する寺宝が並ぶ。
 
 
   次の展示スペースに移ると、快慶の弟子・行快作の重文《釈迦如来座像》と快慶作の重文《十大弟子像》十軀が広いスペースに展示されている。360度鑑賞が可能。
 
   金色に輝く秘仏本尊《釈迦如来座像》鎌倉時代(13世紀)。台座・光背も造像当初のものとのこと。
 
   《釈迦如来座像》を囲むように配置される《十大弟子像》鎌倉時代(13世紀)。90cmほどの高さの玉眼入りの木造仏像は、それぞれ年齢・顔付き・表情が彫り分け。写実的な肖像彫刻。
 
舎利弗(しゃりほつ)
   知恵第一:頭脳明晰、聡明さでは誰にも負けません

目犍連(もくけんれん)
   神通第一:いざという時は、超能力が使えるのです

大迦葉(だいかしょう)
   頭陀第一:清貧をつらぬいて日々の修行に励みました

須菩提(すぼだい)
   解空第一:何事にも執着しないことこそ、真理です
 
富楼那(ふるな)
   説法第一:どんな人でも説得してみせましょう
 
迦旃延(かせんえん)
   議論第一:教団きっての理論家で、問答が得意です
 
阿那律(あなりつ)
   天眼第一:眼は見えませんが、心の眼で見通せます

優婆離(うぱり)
   持律第一:基本に忠実、戒律を守ることが重要です
 
羅睺羅(らごら)
   密行第一:綿密に、隅々まで怠らずに精進しました

阿難陀(あなんだ)
   多聞第一:お釈迦様の話を一番たくさん聞きました
 
 
   《十大弟子立像》を巡る途中、展示スペースの片隅のガラスケースに気づく。先客の肩越しにのぞく。小さな像が何点か。先客の女性二人組が、今日の一番の収穫だ、来てよかった、と感想を述べている。異形の像たち。《天王および羅刹立像》6軀、鎌倉時代・13世紀。小さい像だが、その異形ぶりはよく彫られているなあと思う。
 
 
   次の展示スペースに移る通路には、「国宝本堂の仏後壁画」が写真パネルで紹介される。鎌倉時代の本壁画は、肉眼/普通の写真では、何が描かれているか判別できないほど劣化しているが、赤外線写真ではその描線が少し確認できる。
 
 
   最後の展示スペースは、運慶の弟子・肥後定慶作の重文《六観音菩薩像》六軀。鎌倉時代(1224年)。
   会期前半は、光背をつけた本来の姿。会期後半は、光背を取り外して背中を見れるようにしている。「東博史上初の試み」とのこと。私が訪問したのは会期後半。
 
聖観音菩薩立像(しょうかんのんぼさつ)
千手観音菩薩立像(せんじゅかんのんぼさつ)
馬頭観音菩薩立像(ばとうかんのんぼさつ)
十一面観音菩薩立像(じゅういちめんかんのんぼさつ)
准胝観音菩薩立像(じゅんでいかんのんぼさつ)
如意輪観音菩薩坐像(にょいりんかんのんぼさつ)
 
   なお、聖観音菩薩立像のみ写真撮影可能。
 
   私も撮影。
 
背中も。
 
 
   出口間近の《地蔵菩薩立像》鎌倉時代(13世紀)をもって本展は終了。
 
   見どころしっかり、抑えた量、広いスペース。無用の疲れがない特別展である。
 


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