ノーマン・ロックウェルの展覧会に行くのは初めて。
35点の作品が、ケヴィン・リヴォーリの写真作品と対になって展示されています。
リヴォーリは、ロックウェルの描く独特の世界を現代アメリカ社会の中で追求している報道写真家で、1961年生とのこと。
印象に残ったのは、以下の作品。
①「帰ってきたG.I.」(1945年5月)
帰ってきた兵士を笑顔で迎える家族や近所の人々。
一方、対の写真作品「おかえりなさい」は、帰ってきた兵士に泣きながら抱きつく女性(2007年作)。
なお、本ロックウェル作品は、アメリカの戦時国債募集ポスターに使われたとのこと。
②「言論の自由」「たくさん召し上がれ(生活の自由)」「信仰の自由」(1943年2~3月)
「四つの自由」連作4作品中、3作品が展示されています(あと1作品は「平和」)。
アメリカの参戦を受けて何らの協力をしたいとする画家は、フランクリン・D・ルーズベルトの演説における「人類の普遍的な四つの自由」をモチーフに作成したらしい。
一方、対の写真作品は苦しかったでしょうね。特に「揺るぎない信仰」。
なお、ロックウェル作品は、結果としてサタデー・イブニング・ポスト誌の表紙を飾ることとなりますが、たいへんな人気をよび、その後これら原画を目玉とした展覧会が全米を巡回し、1億ドルを超える戦争資金を集めることができたそうです。
本展覧会での展示作品とキャプションのみで判断はできませんが、単純に「心やさしい」と見るだけではいけないようです。
リヴォーリの写真作品では、「プロムのまえに」「卒業式の伝統」がお気に入りです。あと、ロックウェル「待ちきれないなあ」の対作品が「戦争へ」(2004年)というのは気になりました。