御即位30年記念
「両陛下と文化交流ー日本美を伝える」
2019年3月5日~4月29日
東京国立博物館本館特別5室・4室
いつの間にか後期入りしていた「両陛下展」を訪問する。
主に見たもの。
高山辰雄
《主基地方風俗歌屏風》
1990年、宮内庁用度課所管
「悠紀・主基地方風俗歌屏風」は、御即位に際して行われる「大饗の儀」において饗宴の場を飾る屏風。
悠紀地方は京都より東方の地、主基地方は京都以西の地をいい、具体的な土地については、御即位の礼のたびに選ばれる。
平成期は、悠紀地方は秋田県で東山魁夷が担当(前期出品)。主基地方は大分県で高山辰雄が担当、豊かな自然のみならず、車が走る街中風景、高層建物、煙突も描かれる。
ちなみに、昭和期は、悠紀地方は滋賀県で川合玉堂が担当、主基地方は福岡県で山元春挙が担当。大正期は、悠紀地方は愛知県で野口小蘋が担当、主基地方は香川県で竹内栖鳳が担当。さて、令和期は?
酒井抱一
《花鳥十二ヶ月図》
1823年、宮内庁三の丸尚蔵館
何種類もの「花鳥十二ヶ月図」の存在が知られる抱一。そのなかでも本作は構図が整い配色も鮮明な優品で、62歳の作品と判る基準作としても貴重とのこと。
岩佐又兵衛
《小栗判官絵巻》
17世紀、宮内庁三の丸尚蔵館
全15巻、全長約324メートルにも及ぶ大作。2015年の三の丸尚蔵館「絵巻を愉しむ」展で、1・7・8・11・13・15巻が数場面ずつ公開され、入場無料で大いに楽しんだ。
今回私の訪問日の公開は、10巻の第19段「小栗と従者たちは冥土へ送られるが、閻魔大王は従者たちだけは娑婆へ戻すと裁くのに対し、従者たちは小栗一人を戻して欲しいと訴える」場面。10巻は23段あるのに、確かに閻魔大王や鬼たちなど見応えありとされる段だけど、1段のみ。
その他、皇后陛下による皇室御養蚕の説明パネル、「飼育が難しく、取れる糸の量が少ないため存続の危機にあったが、皇后陛下の手によって守り育てられた」という「小石丸」という純国産種の貴重な蚕種は、正倉院古代裂の復元や鎌倉時代の絵巻(春日権現験記)の修復などに使われたという。
噂には聞いていたが、東博らしからぬコスパに難ありの特別展、まあそれを確認しにいったようなもの。
5/3からの「美を紡ぐ 日本美術の名品 ―雪舟、永徳から光琳、北斎まで」展はどうか。