東京でカラヴァッジョ 日記

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「キリシタンー日本とキリスト教の469年ー」(國學院大学博物館)

2018年09月19日 | 展覧会(その他)
「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」世界文化遺産登録記念
キリシタン
-日本とキリスト教の469年-
2018年9月15日〜10月28日
國學院大学博物館
 
 
   入場無料。会期中休みなし。
   西南学院大学博物館との合同展示。
   全85点の展示。前期または後期のみの出品や、この後巡回する福岡会場のみの出品も含んだ数である。
 
 
【本展の構成】
 
序章     日本宗教の重層性
 
第1章   キリスト教の伝来と普及
(1)フランシスコ・ザビエル来航 ーイエズス会の適応主義ー
Topix1:南蛮文化ー欧風文物の造形(←福岡会場のみ)
(2)キリスト教の定着ーキリシタン版と聖品ー
Topix2:キリシタンによる廃仏毀釈ー禁教の一因ー
Topix3:地下に眠るキリシタン
(3)海を渡った日本人キリシタンー天正遣欧使節の足跡ー
Topix4:千々石ミゲル夫妻の墓が語るもの
 
第2章   禁教政策の展開
(1)受難のはじまりーバテレン追放からキリシタン禁制へー
(2)天草・島原一揆ー悪政に抗して
(3)江戸幕府の禁教政策ー民衆統制と「崩れ」ー
Topix5:切支丹屋敷とシドッチ
 
第3章   キリスト教解禁への道程ー開国と明治ー
(1)「信徒発見」と再布教
(2)浦上四番崩れーキリシタン最後の「旅」ー
(3)明治の宗教政策とキリスト教解禁
 
第4章   「かくれキリシタン」の伝統
 
終章
 
 
 
 
印象に残る出品物5選。
 
No.11
《おらしょ断簡》
キリシタン版(加津佐版)
1590-91年
上智大学キリシタン文庫蔵
 
   ヴァチカン図書館蔵の『どちりいなきりしたん』と同じ活字が使用されている、日本最古の印刷物の一つであるらしい。
   「ぱあてるのすてる」「あべまりあ」「けれど」の祈祷文。
 
 
 
No.17〜18
《宝篋印塔残欠》
《五輪塔残欠》
長崎県南島原市有家町山川
温泉神社周辺出土
15-16世紀
南島原市教育委員会蔵
 
   キリシタン大名の領内において行われたとされる寺社・仏像の毀棄(廃仏毀釈)。石造物の破壊の痕跡が神社周辺で発掘されることがあるという。本出品物もその一つであるらしい。
 
 
 
No.22
《教皇庁日記 1582-1638》
パオロ・アラレオーネ著
18世紀
福岡市博物館蔵
 
   教皇庁の式典部長が編集した57年間の儀式・式典を記録した書物。
   天正遣欧使節のローマ到着(1585/3/22)や新教皇の即位式への出席(1585/5/1)が記録されているという。
   本展では、書物の扉の頁のみの公開。
 
 
 
No.25〜26
《ガラス製品》
《ガラス玉》
長崎県諫早市
千々石ミゲル夫妻伊木力墓出土
1633年
個人蔵、諫早市美術・歴史館寄託
 
   天正遣欧使節のなかで唯一棄教したとされる千々石ミゲル。
   その息子により1633年に作られたミゲル夫妻の墓の発掘調査が行われているらしい。
   出土品である玉類の一部は、ロザリオの一部であったと考えられていて、つまり、千々石ミゲルは実は棄教していなかった説が出てきているという。
 
 
 
No.80〜81
《お掛け絵》2点
生月島伝来
昭和時代・20世紀
平戸市生月町博物館蔵
西南学院大学博物館蔵
 
「かくれキリシタン」のお掛け絵2点。
 
   生月町博物館蔵のお掛け絵は、三日月の上に乗り幼な子イエスを抱く聖母マリア。空には三人の天使が舞う。
 
   西南学院大学博物館蔵のお掛け絵は、雲の上に乗る二人の男。
   向かって右の男は、手にお水瓶を持つことから、洗礼者ヨハネ
   向かって左の男は、手に剣を持つことから、大天使ミカエル
を始祖として、生と死を司る二人として進化し、この姿になったと考えられているようだ。
 
 
 
 
   最近の展覧会は、写真撮影可能な出品物を用意することが多い。今年になってそれが顕著になってきている印象。本展でも1点。
 
No.7
《聖フランシスコ・ザビエル像》
ゴア(ポルトガル領インド)
18-19世紀
西南学院大学博物館蔵
   出品物自体の解説はなし。
 
   
 
   出品リスト上、前期(〜10/10)と後期(9/29〜)に分かれており、数点の入替がある。言い換えると、9/29〜10/10の期間は、前後期が重なっているので、東京会場出品物全点を見ることができる、と思われる。


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