ルノワール展
オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵
2016年4月27日~8月22日
国立新美術館
GW初日の午後訪問。
人気の印象派展、観客数は相応だが、館のキャパもあってそれほどの混雑ではなく、快適な鑑賞となる。
映画3点を除くと100点の出品。名を並べるオランジュリー美からの出品は7点どまりで、後半6章からの登場、殆どがオルセー美からの出品である。
本展の目玉、初来日の《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》1876年。
狭い路地を抜けると、突然視界が拡がり、そこには大きな広場。すぐ右手に《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》、その対面遠くには《都会のダンス》と《田舎のダンス》、そして広場の中央には公園ベンチ。
大きな広場に作品3点のみ。なかなかの効果だ。
《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》は、館のキャパのためか、思いのほか小さく感じる(131.5× 176.5cm)。
ダンスを楽しむ大勢の人たち。中景には人混みにあてられたのか、ベンチで休もうとするカップルも見られる。
大きな広場中央の公園ベンチに座って、《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》を、多くの観客が群がる様を込みで、遠目に眺めていると、むしろこれが《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》に相応しい鑑賞の仕方だという気もしてくる。
《都会のダンス》と《田舎のダンス》1883年。2点並ぶのを見るのは、随分昔にあったような記憶があるが、いつ以来だろうか。チラシに「45年ぶりに揃って来日」とあるから思い違いか。
緊張vs満面の笑み
シルクの夜会服vs木綿の晴れ着
将来の画家ユトリロの母であり自らも画家vs将来のルノワールの妻
大きな広場に連なる小空間、舞踏会やダンスホールをテーマとするルノワール以外の作品が並んでいるのだが、そのなかになんと、ゴッホがある。3点もある。
《アニエールのレストラン・ド・ラ・シレーヌ》1887年
《モンマルトルの酒場》1886年
《アルルのダンスホール》1888年
嬉しい。《モンマルトルの酒場》は初見かな。嬉しい。
本展の構成は、次のとおり。
1章 印象派に向かって
2章 「私は人物画家だ」:肖像画の制作
3章 「風景画家の手技(メチエ)」
4章 “現代生活”を描く
5章 「絵の労働者」:ルノワールのデッサン
6章 子供たち
7章 「花の絵のように美しい」
8章 《ピアノを弾く少女たち》の周辺
9章 身近な人たちの絵と肖像画
10章 裸婦、「芸術に不可欠な形式のひとつ」
天下のオルセー美術館といえども、単館でのルノワール展は厳しいのではと思っていたが、さすがの構成。
冒頭の《猫と少年》1868年と《陽光のなかの裸婦》1876年頃の肌対決。2章の肖像画シリーズ全14点。《草原の坂道》1875年頃や《イギリス種の梨の木》1873年頃などの風景画。《ぶらんこ》1876年と《アルフォンシーヌ・フルネーズ》1879年。《水のほとりの3人の浴女(フィラデルフィア美術館蔵《大水浴》のための習作)》1882-85年頃。《母性あるいは乳飲み子(ルノワール夫人と息子ピエール)》1885年。ジェームス・ティソ《夜会あるいは舞踏会》など。
1880年代頃までのルノワールが好みである。